#194 Article 2882 Posted at 1996/04/07 08:15:14 by TOSHI (MAP2425) [NAZO]
Subject: Re:*7 新世紀エヴァンゲリオンの謎 /2867 ... /2811 /2741
南極さんの回答を待たずに横からしゃしゃり出てなんですが……長いです。 > 他の多くのアニメ作品というのは作品内の謎のケリはきちんとつけつつも、そこに、 > ある何等かのテーマを内包させようと努力していると思うのです。 > 加えていうなら、視聴者に「理解してもらいたい」という意志も弱かったように > 感じます。少なくとも私には釈然としないものがありました。それともこれは そうでしょうか? ちょっと考えてみてください。 例えば、最近の作品でいえば、『りりか』、『イサミ』、『ウェピー』と どれも肝心な謎にはまったくケリをつけていません。 『りりか』でいえば「ナースエンジェルって何?」であり、 『イサミ』でいえば「悪の組織とは? イサミちゃんてどんなコ?」であり、 『ウェピー』でいえば「天使と悪魔って、何だったの?」です。 それぞれ、番組にとってとても大事なテーマと堅く結び付いているのですが、 どの番組もそれにケリをつけてはくれませんでした。 あるいは☆まちばり☆さんのすきな『らんま1/2』でも、 「らんまが女になるというのは(らんまにとって)どういうこと?」という 問題にはまったくケリをつけていません。これ、少女マンガや成年マンガでは ひとつのジャンルさえ作りかねない大事なテーマです。 メジャー作品でいえば『セーラームーン』シリーズなんて謎だらけでしょう? いま僕があげたことは「すべて物語の狂言回しにすぎないじゃないか」と おっしゃるかもしれませんね。じゃあ、逆になぜ『エヴァ』では、 そうした謎が狂言回しだと、あなたは考えられないのでしょうか? それは『エヴァ』が謎を謎としてわかりやすく視聴者に提供していたからです。 逆にいえば、他の番組は、それが謎であることがフツーの人にとって わかりにくいというだけのことなんです。 そして、実はそれが『エヴァ』が受けた原因のひとつでもある。つまり…… だれでも(考えることが苦手な人でも(^^;)謎を謎として楽しめたわけでしょ? もうひとつ。では、「心情ドラマ」であるということを「理解してもらいたい」 という意志はあったのか? という点。……これはもうものすごくありました。 わかりやすいぐらい教科書的な演出がそれこそ続出していたのです。 説明しましょう。 例えば、庵野色がもっとも薄いといわれる8話、9話であっても、 同じエレベーターというシチュエーションを用いて、ミサトと加持との 微妙な関係を、大勢の中と2人きりとの場合とで対比することで 描いてみせています。 また、2話ではシンジの心情にそって物語を再構成してみせることで、 「シンジの心情ドラマ」であることを強く印象づけています。 これはLDに書いてあることですが、最初は時間通りに組んであったものを わざわざカットを入れ替えて、あの構成にしているのです。 また、僕自身がこのボードに放映時点で書いたことですが、 2話における意識的な「視線」の演出がそれを補強しています。このことを わざわざ持ち出してきたのは、気づいていたことを自慢したいわけじゃなくて、 そういうことに気づいてもおかしくないように演出されていたんだ、ってこと。 このように視線、対比、モンタージュ、セリフ、あるいは文字そのものを使って 半ば教科書的なまでの(ある意味愚直なまでに)わかりやすい演出作法で、 「壊れた人々の心情ドラマ」であることを強く強く印象づけていたのです。 もちろん、僕がここでいうのは「いっていることがわかりやすい」ではなく、 「演出として伝えたいことがあるからちゃんと見てね」とか 「ここを読みとってほしい」というサインがわかりやすい、ということですよ。 それからあとはもう、視聴者がどういうふうに番組を見るか、 いいかえればどういう『エヴァ』を選択するかの「選択の問題」です。 だからこそ、そこで語っている内容を読みとってみせる、というのが アニメファンとしての、いいかえればアニメ見る目に自信がある人間としての、 気概というものじゃないですか。 TOSHI