#194 Article 1954 Posted at 1996/02/03 01:30:04 by かくた (MAP4496) [NO.18]

Subject: Re: 命の選択を /1876

トウジが死ぬか生きるかってのもそりゃ大きな問題ではあるけれど、松
代での大爆発の被害者がミサト以外まったく描写されないのが気になって
しかたがなかった。
 『エヴァ』がウルトラシリーズの強い影響下にあるというのは知人から言
われて気づいたことなんだけれど、それならなぜ、逃げ惑う市民とか、破
壊による被害者とかが一切描かれないんだろう。ネルフ内部の描写は徹底
したリアリズムが貫かれているのに、リアリズムという点では不可欠なは
ずの上記のような部分がすっぱりと切り落とされてるのはなぜだろう。
 で、はたと気づいた。なぜ描写されないかといえば、そんなものこの作
品には必要ないからなんだ。

 どうも私は大きな勘違いをしていたらしい。
 『エヴァ』ってのは密室を舞台とした不条理劇だったんだ。
 シンジがオヤジに会いに第3新東京市(密室!)に来て、どうしてもオヤ
ジに近づく(精神的にね)ことができず、かといって密室からも出られない。
他の登場人物も密室から出られない人ばかりだ。で、その密室に使徒がや
ってくる。目的は不明。ただわかっているのは、使徒を倒さなければ自分
たちの密室は維持できないらしい、ということだけだ。
 そういえば作品は徹頭徹尾登場人物の心理描写しかしていない。

 部分的には過度とまで思えるリアリズムも、聖書や十字架をめぐるほの
めかしも、その他の謎も伏線も、さらに言えばエヴァ自体も、すべては登
場人物を極限まで追い詰めるために用意されたもっともらしい道具にすぎ
ないんじゃなかろうか。謎解きを期待すると、きっとスカされるぞ。

 ついにすべてがなにも説明されぬまま終わって、視聴者が惚けていると、
少年がやって来て、きっとこう言うのだ。
「ゴドーは今日はこないって」

        十分説明できてるとは思いませんがとりあえず かくた

p.s. こう書いておいてなんだが、ふと思い浮かんだ深読み。
 EDの "Fly Me To The Moon" は "Moon" = "Lunatic" なんじゃなかろ
うか。