#194 Article 1587 Posted at 1996/01/08 01:22:53 by KYOGO (MAP2034) [NO.13]

Subject: Re:*9 使徒、侵入 /1531 .... /1464 /1439

> はーい、じゃあ質問しまーす(・_・)/

ううっ、こういうレスが来るのを怖れてました(笑)(いや笑っちゃいかん(^_^;))
まあ、書いてしまった責任もあることですので一応お返事を。

あっ長いので、興味のない方は読み飛ばしてくださいませ。


> エピソードとして描かれていて、物語を語っていて、人間を描くことが出来ている
>キャラクターの生い立ちについての演出手法とはどのようなものなのでしょうか?

いえね、特定のどんな演出手法がある、って言ってるんじゃないんです。
ただ、こういうお話をやるとき、セリフだけに頼って済ませるんじゃあんまりでしょ、
お話を描いてるんだから、セリフだけじゃなく、何か具体的な「エピソード」または
「絵」の形で見せて欲しかったな、ってことです。
それと、もうひとつは、それを本筋の流れとうまくつないで欲しかった。
どちらも、特別なことじゃなく、普通やるべきことですよね。

>そしてエヴァの今回の話の場合何が欠けているのでしょうか?

だから、どこがどう欠けているというものじゃないんですが・・・

あえて具体的に言うと(具体的に言うととたんに安っぽくなってイヤなんですが)、
たとえば、リツコの母親がどういう人だったのか、リツコと母親の関係が
どうだったのか、それによってリツコがどういう影響をうけたのか、等々について、
これらは、リツコのセリフでしか語られてませんね。

最後のミサトとの会話で、リツコは
「科学者としてのあの人は尊敬もしていた。でもね、女としては憎んでさえいたの」
と言ってます。
でも、こう言葉で語っただけでは、はあ、そうなんですか、以上の印象は受けません。
普通なら、リツコの母親がどんな人だったのかわかるような、あるいは、
母親とリツコの間で昔どんなことが実際にあったのか、とか、具体的なエピソードを、
あるいは絵を、用意するべきところですよね。

(何らかの理由でリツコの母親を登場させたくなかったのかもしれませんが、
 何もそこで実際にリツコの母親を出す必要はなく、
 出さなくてもエピソードはいくらでも作れるはずです)

これって別に、特別なことじゃなくて、普通にやることですよね。
誰かが「ミサトはとても変な味覚をしているのよ」とセリフで言っても、
はあ、そうなんですか、止まりですが、
実際に「ミサトが作った料理を食べた人が、ばたっとこけてひくひくとなる」という
エピソードを見せれば、なるほど、こらーヘンだ、と、強い印象を与えられますね。
さらにそれが、印象的な絵で描かれていればなおOK。

比較として、シンジの父親に対する感情についての部分を見てみますと、
これの語り方にも実は結構不満があるのですが、
でも、例のOPにも出てくる、「泣いている幼いシンジ」の絵が1枚、要所で効果的に
インサートされているというだけで、ずいぶんぐっと印象が強まってます。
この1枚の絵にはゲンドウも出てこないし何の説明もありませんが、
下手なセリフより、はるかに強く物語を語ってますよね。
この絵がなくて、シンジがセリフだけで、「父さんはぼくなんかいらないんだ」と
繰り返すだけだったら、どうでしょう。

ミサトと父親のエピソードに関しても、少しなりとも「絵」を見せているので、
いくぶんマシです。いくぶんマシって程度でしかないんですけど。
でも、リツコの場合と比べて、この「絵」があるぶんだけ、まだしもミサトの
父親の方が、イメージを持ちやすいですよね。
「奇跡の価値は」の冒頭の、ミサトの過去のシーンのあの絵が、もしもなかったと
したら、ミサトと父親の話はえらく印象の弱いものになってしまっていたでしょう。

とまあ、なんらかの手段で(それは何でもいいのですが)、
具体的なエピソードなり絵なり、あるいはそれに代わる何かを見せて欲しかったと。


で、できれば、それを今回の話の本筋にうまくからめてほしかったです。

今回の使徒侵入の話はとっても面白かったのですが、それと最後の、リツコの
母親に対しての尊敬と憎悪についてとは、ほとんどつながりがありません。
普通なら、本筋のお話の中で、つまりリツコが使徒の侵入と戦って行く過程の中で、
母親に対しての尊敬と憎悪なりを描き、それをリツコが乗り越えるなり、
あるいは別段乗り越えはせずに今までどおりなり、織り混ぜて語るべきものでしょう。

そういう愛憎のような感情を、作戦の最中では一切出さずに、終わった後の疲労の中で
はじめて見せるあたりがリツコらしい、という描き方なのかな、という気も
しなくもないですが、それならそうで、なにか別の手段をうまく使って、
本筋とからめて欲しかった。

これもたとえばの話ですが、
(しかも上で言ってることとはちょっと外れますが、他に例を思い付かないので)
今回のラストのセリフ、

「CASPER にはね、女としてのパターンがインプットされていたの。
 最後まで女でいることを守ったのね、本当、かあさんらしいわ」

これを聞いて、結局なにがどう「かあさんらしい」のか、納得しました?
どうやら、CASPER が最後まで乗っ取られなかったことが、
「最後まで女でいることを守った」ことなのだ、と受け取れなくもないのですが、
あまりぴんとこないし、それがどうして「かあさんらしい」のかもわかりません。
このセリフ、ぜんぜん重みがありませんね。

(実際、使徒侵入の最中の、3つの MAGI が次々と乗っ取られて行く部分の絵を見る
 限りでは「右側から侵入が始まったから左端にあった CASPER が最後に残った」
 ようにしか見えませんわな。
 MAGI に至るまでの他のコンピュータも、外側から順にやられてるわけだし)

でも、ここまでのお話の中で、たとえば3つの MAGI の中でなぜ CASPER が最後まで
乗っ取られなかったのか、そこに何か原因があったのか、それに司令室のスタッフが
少しでも疑問を投げかけるとか、あるいはリツコがその原因に気づいたようなそぶり
でもいいから見せるとか、そういうシーンがあっての上でのこのセリフだったら、
ぐっとこのセリフも生きたことでしょうし、話全体も引き締まったでしょう。
(いや、これは私が勝手に作った「たとえば」で、元々このシナリオでは、CASPER が
 最後だったのはたまたま、という設定だったのかもしれないのですが)


・・・さて、「普通なら」という言葉を2回つかいましたが、もちろん普通どおりの
演出をせねばならないなどと言う気は、さらさらありません。ましてやエヴァでは。
でもそれは、普通よりもっとうまくやれるのなら、の話ですね。
普通以下ではちょっと困ります。


最後にもうひとつ。これはもう個人的な好みの領域にも、かなりかかって
しまうのですが、
こういう話をやっていて、すーぐ「女として」のように「女性」に頼った
話にしてしまうのは、ちゃんちゃらおかしーや、っていう気持ちも私にはあります。
安易に「女」を持ち出してもっともらしく見せてんじゃねーよ、って(^_^;)
持ち出すなら持ち出すで、もっと本気でやってくれよお、と。

これに関しては論理的な説明はできないのですが(笑)、まあ経験的に、
こーゆーことを言い出す作品はろくでもないものの場合が多かったとゆーことで(笑)


    ・・・・こんなもんでいかがでしょーか?(おそるおそる(^_^;)) KYOGO