#180 Article 541 Posted at 1996/05/07 07:47:35 by Rocoboo (MAP6140) [NOVEL]

Subject: When I think of you...

まいど、Rocobooです。

 前回の小説もどきをUPしてから随分経ちました。
 あまり時間が経ち過ぎると忘れてしまいそうなので、急いで書いてみました。
 でも、このテのモノってBBSの方にUPして良いのかな?

 例によって、悪文&長文注意。

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 雨音がしとしとと続いている。
 鉛色の空から、雨粒が絶えず落ちてくる。

 ここは平和な国ムーゲン。はるか上空まで聳えるノベルポールの基部、大樹
の根元に存在する国だ。
 普通、木の根はその幹全体を支持し、水や養分を吸い上げて樹木全体を養う
働きがある。ところが、この大木はそれとは逆に、幹が根の部分を支えている
のだ。

 今日のような気象では、その幹・ノベルポールを見上げてみても、上部は曇
天に吸い込まれて姿を隠し、それより下の部分も霧によってぼんやり霞んだ様
子にしか見えない。

 ずっと降り続いている雨はまだ止まない。窓を開けると、肌に感じる風も生
暖かく、重苦しい空気が部屋の中に流れ込んできて、こっちの気分まで湿って
きてしまう。特に、普段外に飛び出して、元気に跳ね回っている者にとっては
憂鬱な事だろう。

  あ~あ、こうも雨続きじゃ、退屈だよなぁ。

 独り窓の桟に片肘を突き、外に向かってぶつぶつ文句を言っているのは、ム
ーゲンの住人の一人であるネズミの精霊・バク丸である。今日は友達数人と遊
びに行く約束をしていたのだが、この雨のせいで計画はおジャン。家の中で大
人しくしているのが心底苦手な彼にとって、こんな仕打ちをしてくれた天気に
愚痴の一つもこぼしたくなるのだろう。

  こんなことなら、誰かの家に泊まりに行けばよかったぜ。

 こんな暇な時に雲を見上げていると、それが次第に仲間の顔の様に見えてく
る。真っ先に浮かんでくるのは、かつてエトレンジャーとして共に戦った11
人だ。みんなの家に遊びに行けたなら、こんな退屈な時を過ごすことも無いだ
ろうに。
 けれども、しょっちゅう泊まりに行くガオウは最近留守が多いし、その次に
外泊する機会の多いクリームは、確かスフレの家に泊まりに行ってしまったは
ずだ。モンクは毎晩のようにポチ郎の所に通っているし、後はタルトかな?

  あやゃ、冗談じゃない。
  二度とタルトんとこに行くもんか。

 そう、バク丸はかつてタルトに手玉にとられ、惨めな思いをした事があった
のだ。クリームやスフレに対するのと同じ様に襲い掛かったものの、逆に押え
込まれた上に、あれこれ道具を使われて、バク丸は悲鳴を上げて泣き叫ぶぐら
いしか出来なかった。それから2・3日は椅子にも座れない程だった。

 タルト以外にも、バク丸に貴重な体験をさせた女性が一人いた。

  そういえば、あんな事があったっけな。
  ショコラ、とっても上手かった・・・

 もう何年前の事だろう。
 いつもの様にショコラに追いかけられ、逃げ回っていたバク丸は、森の中で
運悪く木の根っこに躓いて転倒し、呻いているところを捕まってしまった。
 大の苦手なネコに首根っこを押さえつけられて、逃げようとしても、怖くて
体が言うことを聞かない。一方、久々の獲物を捕らえたショコラは嬉しそうな
声を上げて、哀れなネズミの男のコの目前を爪で一閃、二閃と弧を描く。その
度にバク丸は体をびくっと震わせて小さく呻き声をあげ、そんな惨めな姿をシ
ョコラは面白そうに笑う。
 いつもは飽きるまでバク丸をチクチクといたぶって、脅える様子を楽しむシ
ョコラだったが、普段と違って暴れず、しきりに痛がるバク丸の様子を見て、
彼が足首を痛めてしまった事を知った。

  何だか、かわいそう・・・
  ショコラは酷いことをしてしまったのかも・・・

 興奮すると自然に飛び出してくる爪が次第に引っ込んでゆき、捕らえた獲物
を押さえ付けている力も緩くなってゆく。ふとバク丸の顔を覗き込むと、よっ
ぽど怖かったのか、目尻に涙を浮かべている。また、靴を脱がせて足首を見て
みると、そこが真っ赤に腫れ上がっている。さっきから痛がってたのは、足首
を捻挫していたからだったのだ。
 そんな痛めた足首をショコラは優しく、丹念に舐め始めた。かつて、ショコ
ラが怪我をした時に、ガオウがこうしてくれたように、出来るだけバク丸の痛
みが和らぐこと、ただそれだけを考えて。
 そのうち、腫れ上がる足首を舐めていた舌が段々と首の方へ近づいてゆき、
爪で引き裂かれた服の合間からちょうど覗かせている部分へと到達した。そこ
は傷めている部分ではないのに、ショコラの動作はますます激しくなってゆく。
すると、言いようのない感覚がバク丸を捉え始めた。

 逃げようと思えば、それが可能だった。いつもは体がすくんで逃げられない
のだが、今回は違う。でも、それが出来なかった。このまま、いつまでもこう
していたい。その思いが強すぎて、そのまま最後まで何も出来なかった。後半
のことは、あまり良く覚えていない。ただ、全てが終わった後もショコラに包
まれているような感じがして、そのまま眠ってしまったようだ。

 目が覚めた時、ガオウのベッドに横たわっていた。ガオウは、またいつもの
様にショコラに苛められたんだろうと心配して、その晩特別に優しくしてくれ
た。ガオウの腕の中で、何回も何回も責め立てられたが、同じ様なことをされ
ても、ショコラの細やかな感触の方がはるかに素敵だった。。
 次の朝、朝食を摂ってガオウの家を去る時も、ショコラとの一件はもちろん
秘密にしておいた。

 今でも、首筋に当たった爪やざらざらした舌の感触は忘れられない。

  ショコラ、無事でいるんだろうか。


 そうやってあれこれ考え事をしていると、玄関のドアを激しくノックする音
が聞こえてきた。

  お~い、バク丸ぅ。中にいるんだろ。
  だったら、さっさと鍵を開けてくれ~っ。

 声音と口調で察した通り、ドアを開けて現れたのはモンクだった。
 その彼は、この雨の中を傘も差さずに駆け抜けてきたらしく、ぜいぜい息を
切らしている。また、髪の毛も、服も、体毛も全て雨を吸い込んで、じっとり
と濡れている。きっと、いつものように喧嘩でもして飛び出してきたんだろう。
 とりあえず、バク丸はそんな問題児を家の中に招き入れる。

  やれやれ、とんだ目にあったもんだ。
  ポチ郎ったら、たったあれだけの事で怒り出すんだからな。

 雨に濡れた衣類を全て脱ぎ捨て、大きなバスタオル一枚にすっぽり包まって
コーヒーを啜っているモンク。相変わらず、他人の家でも遠慮がなく、言いた
い放題のことを言っている。例によってあれこれとポチ郎の悪口を並べてから、
この天気について切り出して来た。

  なぁ、バク丸。今日の雨って、この季節にしては珍しくないか。
  確か、いつも来月の終わり頃から少しずつ降り出すんだったよな。
  ボクなんか、この月に降られた事、一度も無かったんだぜ。
  まったく、ずぶ濡れになってしまうなんてカッコ悪いよな。

 そういえば、雨季でもないのにこの天候とは、少し異常にも思える。オーラ
姫の霊力が弱まった頃に異常気象になった事もあったが、最近はそんな事も皆
無だった。ノベルポールが崩壊しかかった時程の荒れ模様ではないから、そん
なに大事には至ってないと思うが・・・

 たった一人の聞き手が考え込んでしまったので、モンクもこれ以上何も言え
ずに沈想に耽けっている。その姿を良く見ると、髪の毛はタオルで拭いたもの
の、ずぶ濡れになった体をまだ良く拭いていないため、大きなバスタオルから
覗かせている腕や胸の辺りに雨の雫が残っている。バク丸よりはるかに長いそ
の茶色の毛、ここ何年もの間それに触れる機会が無かった。今それを一人占め
しているのはバク丸ではなく、アイツだ。
 いつしか考えが天気の事からモンクとの想い出に移ったバク丸は、以前と変
わることのない、そんな想いのある体を眺めながら、いつこの言葉を口に出そ
うかと悩んでいる。

  モンク、今夜泊まってけよ。
  この雨じゃ洗濯物も乾かないだろうし、これから行く所も無いんだろ。
  だったら、雨が止むまで一緒にいないか。
  ちょっと昔を思い出してさ。

 そんなバク丸の気持ちを知ってか知らずか、目線が合ったモンクは再びポチ
郎の事についてあれこれ喋りだした。モンクの話は大抵自慢話か、さもなけれ
ばポチ郎に関する話題ばかりだ。バク丸はちょっと複雑な心境で、そんなポチ
郎についての悪口を聞いていた。

 二人の話が一段落した時、ふと耳を澄ますと、雨音に混じってまた玄関をノ
ックする音が聞こえる。先程のようにドアを連打するのではなく、弱々しく、
途切れ途切れに叩く音がする。

  きっとポチ郎だぜ。ボクに謝りに来たんだな。
  バク丸、絶対に中に入れるなよ。

 モンクの台詞を適当に受け流して、バク丸は玄関まで突っ走ってゆき、急い
でドアを開ける。ところが、玄関が開くのを待っていたのは予想していた人物
ではなかった。全身をモンク以上にしとどに濡らし、苦しそうに佇んでいたの
は・・・

  ・・・ショコラ!!
  どうしてここに・・・!?

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 前回、“邪霊王ニャンマーの復活”と書いたのは何処へ行ってしまったん
 でしょうか?(苦笑)

 実は、リレー小説化を考えて、前回のような行動をとったんですが、
 最後まで一人で書き続けられるかどうか・・・

 Article 478 の舞台がついに登場しました。
 次回はスフレの家からスタートってのはどうでしょう? >ねるげさん

 ポチ郎ちゃんの出番がまだの上に、趣味・嗜好が固まっていません。
 今後の展開を38話型(モンク)/39話型(タルト)のどっちにすべきか
 結構悩んでます。是非とも良い知恵を貸してください。>煙鳥のしっぽさん


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