#18 Article 64 Posted at 1990/10/15 21:13:41 by ISAM (MAP1129) [ERIKO]
Subject: Re:*27 今更「えり子」 /63 ........ /28 /27
少し暇があったのでえりこのことを書いたけれど、資料不足がなんともね。 まっ、いいか。 てきとー、てきとー(へろへろへろ)。 なぜ、えりこがあのようなけったい髪型なのか。 あのねじれた房は物語上のなにを示しているのか? ただ、アイドル性の象徴である。 このコイル状のスピンに、伝説の非現実性を支えるバネが見てとれる。 「アイドル伝説」の表層は、かように明白で自明な構造を持っている。 例えば、えりこが髪をおろしたとき、固くセットされたそれはほどけて一つの呪縛か ら彼女は解放されたかにみえる。 しかし、それは物語の表層ではあっても内実ではない。 アイドルという空虚な意味は、常に観客という存在によって充足される関係にある。 観客はまた充足されるべき存在としてのアイドルをもとめる。 ここで観客とアイドルはお互いに補間しあう関係となるのだ。 えりこの空虚さは、物語における現実の彼女の空虚さである。彼女は、アイドルであ るべき内的な欲求を完璧に(空で)満たしているために、それは伝説として存在できる ことになる。 えりこの、非凡さは彼女自身としてではなくてその状況としてまず描かれる。 まず父性の存在が大きな影を落とす。その欠落が、アイドルとして存在しうる第一の 必然である、強制力に近いものである。 次に、母性も一時的に存在しなくなる、社会への遮蔽物を失った彼女は観客の目前に 晒される。 ゆえに彼女は髪を固くゆわえて、自己を守る。 物語の終盤、彼女は自身の内部が真に充足されることをしる。失われた母性と父性が 彼女の中へと戻ってくる。 また彼女のアイドルとしての成功自身が皮肉にも彼女の内部を満たしてしまう。 この時点において初めて、表層と内実は一致して、彼女の髪は彼女を縛りつける呪縛 として機能しはじめるのだ。 内的空虚さを失ったえりこは、呪縛からの逃避を試みる。 もはや彼女は何物をも受入れる入物としては動作しないのだ。 アイドルは個ではなく場だ。 場は漂い出、高原を彷徨う。 なぜ、えりこはそこで伝説に立ち合うこととなったのか? 伝説は個を抜け出しているのに・・・ 伝説が伝説として、言葉として、独立なものとして過去へ押しやられようとした瞬間 に、なぜ彼女自身がその行為を行なうかということは実は自明なことなのだ。 それは彼女の物語だったからだ。 観客との関係は補間的であり、満たされる必要があったのは彼女だったからだ。 すくなくとも最後の瞬間で、彼女はそうした自分に気がつく必要があったし、彼女の 髪はラストシーンではおろされなかった。 観客を必要としたのは彼女であり、固められた髪は呪縛ではなく器だったのだ。 ISAM