#163 Article 428 Posted at 1995/02/27 18:06:57 by 石上佳孝 (MAP4243) [ANIME]
Subject: Re:*4 はじめまして(^^) /412 ... /395 /315
灰原さん、
海外における日本のアニメといういい方をする場合、どこの国
の話かという事を特定しておかないと意味が通じにくくなると思
います。まず東南アジア、特に台湾・香港・韓国・タイなどの場
合は感覚的には非常に日本のものと近いと言えます。韓国は公式
には日本の文化輸入を禁止していますが、闇ルートではどんどん
入っており、OLにレディスコミックがはやっているというとこ
ろまで日本と同じ状況です。
ヨーロッパの場合ですが、ラテン・ゲルマン・アングロサクソン
系でそれぞれ状況が異なります。いちばん日本でも紹介が進んで
おり、また人気が高いと言われているのはラテン系、それもイタ
リア・フランス・スペインです。イタリアでは日本のアニメが常
時吹き替えで流され、子供達の間で非常に高い人気を誇っている
のはすでにご存知の通りです。しかしながら日本のアニメに対し
て非常に解放的と思われているイタリアですら、日本のアニメに
対し親や宗教関係者、教育関係者などは決して好ましく思ってい
ないそうです。先日イタリアのモンツァから冬コミを訪問された
Yamato magazineのFrancesco Prandoriさんによりますと、内容の
勝手な改変や検閲は日常茶飯事で、決して楽観できない状況だと
のこと。また講談社の私の友人の編集者によるとスペインも同様
に非常に性的な作品に対する関心が高すぎて、逆にメディアや政
府から叩かれる可能性を危惧されていました。これらの国は性や
暴力に対しオープンであると同時に非常に保守的なカトリック教
徒の国である事を忘れてはなりません。
ドイツ・オーストリア・スイスの場合は、放送コードがきびしく、
放映出来る作品は限られています。いわゆる日本の名作ものが中
心で、これ以外の作品はフランスやイタリアを経由して入ってく
るものがほとんどだそうです。キャンディ・キャンディやレディ・
ジョージイなどが放映されて好評だったそうですが、そもそもこ
れらの作品が一般視聴者に日本のアニメと認識されているかどう
かは怪しいところです。3月にスイスのツーンから友人が遊びに
来るのでこの件についても詳しく聴いておきます。
イギリスで日本のアニメの紹介が始まったのはこの10年程のこ
とです。一般の公共放送で日本のアニメが放映される事はほとん
どありません。ほとんどが輸入ビデオマーケットでマニアが騒ぎ
だしたものが日本に報道されているに過ぎません。アメリカと違
いイギリスは放送方式の違いから日本のNTSC方式のビデオが直接
再生出来ず、直輸入マーケットというのはほとんど育っていませ
ん。ただしマニアの人々は全方式対応のテレビ・ビデオセット一
式をもっているようです。翻訳版(多くは吹き替え版)がManga
Entertainment社からリリースされて始めてふつうの人は日本のア
ニメにふれる機会を得た訳で、輸入会社のタイトルに大きく視聴
者の反応が左右されているというのが現状のようです。
アメリカはようやく市場が立ち上がり始めたところといったとこ
ろです。60年代の日本のアニメブームが去ったあと、放送コー
ドの強化で日本のアニメがアメリカのテレビで放映される事は久
しくありませんでした。この状況に変化がおとづれたのは70年
代末のヤマトブームです。アメリカの場合西海岸には日系移民の
ためのレンタルビデオ屋がたくさんあり、日系人だけでなく現地
のアメリカ人の小数のマニアが発掘したのが最初です。また続い
てWorrior of the Windのひどい編集でおなじみ(笑)、我らが
Carl Macek君の編集によるRobotechが一部ネットワークで放映さ
れ、これがアニメブームの起爆材となった事は事実です。Robotech
とは、日本のオリジナルシリーズである、マクロス・モスピーダ、
サザンクロス3本を無理矢理くっつけて強引に別の話にしてしま
ったという、なんともいえない代物ですが、日本のアニメという
ものを広く認識させたという点ではアメリカでは重要な作品です。
Carl MacekはStreamline Picturesというところから多くの翻訳版
ビデオを出していますが、内容の改編や勝手な再編集を平気で行
うため、アメリカのアニメファンほぼ全員から嫌われています。
Thoren Smithも彼が大嫌いです(笑)。
石上佳孝