#149 Article 729 Posted at 1995/01/18 02:54:10 by ナリ (MAP4662) [COMIKET47]
Subject: Re: コミケット47で見つけた同人誌” /722
ナリと申します。『ティコ』のボードでは初めてになります。以後よろしく
お願いします(今さら何をどうよろしくなんだ>自分)。
がるがりさん、『はうはうナナミちゃん』をお求めいただきましてどうもあ
りがとうございました。わが椛島派には珍しく、60部も行ってしまった‘大ヒ
ット作’(大手の方、笑わないでくださいね)でありながら反響はと言えば、
スクエアな名作ファンからの突き上げすらない寂しい状況で…。けっこう挑戦
的な内容のはずなんですが…。
『ティコ』はせっかくの完全オリジナル作品でありながら、オリジナルであ
るということを何ら活かせなかった作品だったと思います。
「世界の名作」の目の色をうかがいながら描くような、当たりさわりはない
けれどもすごくつまらない、そんな「名作」的世界などではなく、真に名作劇
場が描かねばならない人間観や自然観、また家族観というものを『ティコ』で
は描いてほしかった。『ティコ』の世界は、そういうものをよりストレートに、
かつより現代的に描ける可能性を秘めていたはずです。
でも『ティコ』にはそれができなかった。確かにそれらしきものは描かれて
いましたけれども、その内容はあまりに素朴で陳腐で、シニアなアニメファン
の批判に堪えうるものを何も提示できなかったわけです。
でもそれはきっと『ティコ』だけの問題じゃない。「名作」劇場というもの
が、(始めからだったか、それとも途中からそうなったのかはわかりませんが)
しょせんその程度の志しか持っていなかった、ということなのではないでしょ
うか。素朴で陳腐で、今の時代と切り結ぶ問題性も何ら持たない、閉じた「名
作」的世界を描くことに満足している。そんな現状に甘んじていいのでしょう
か。
そのことに気づいた段階で、普通は「そうか、俺はもうお呼びでないのか」
と考えて「名作」から足を洗う、そんなこと言ってたってしょうがないから、
それに気づいたところで、状況が変わるわけではなさそうだから。もちろん僕
はそんなことはしたくない。でも、そんな「名作」劇場をあきらめきれずに、
いい年して見続けている自分って、いったい何ものなんだ!?
その矛盾を解決する説明する方法としては、2つあると思います。1つは、
「僕バカだからよくわかんな~い」または「でもナナミちゃんかわいいからい
いや」(これは僕の採っていた方法でもありました (^^;;)というふうに退歩
を決めこむ方法。もう1つは「名作」の方を批判に堪えうるものに押し上げて
いく方法。生産的な方法はやはり後者ですよね。
少なくとも僕のようないい年したアニメファンが、根拠をしっかり持って
「名作」を見ていくためには、上の問題をクリアしなければならない。「名作」
の方に、真に名作的なるものを備えてもらわなくてはならないのです。ただ
「世界の名作」を原作に持って、それっぽい雰囲気を持った世界さえ映してい
ればそれで「名作」だなんて、まっぴらごめんです。それを実現するためには、
批判的に作品を見て、その成果を積極的に発言していくしかない。
『ティコ』は、そういうことを僕たちに自覚的に考えさせてくれる、という
点からすれば、大いに役に立つ作品なのですが…。
世の名作ファンは冷たいですね。『ティコ』がダメだから今度は『ロミオ』
ですか。それじゃまるで、『別れても好きな人』じゃなくて、「別れたら次の
人」状態…。根本的に問題を解決しないと、裏切られ続けるだけなのに…。
//ナリ(MAP4662)