#148 Article 22803 Posted at 1995/11/07 07:04:10 by DELTA (MAP5804) [STORY]

Subject: Re:*8 約7年後 /22801 .... /22723 /22719

§8

  うらら学園の一日の授業が終わり、生徒達は帰宅の途につきます。始めはどっと、やが
 てまばらに、最後はぽつぽつと。幼い姉弟が手を繋いで校門を出てきたのは、一年生の
 授業が終わって二時間以上たった後の事でした。
  泣きじゃくる姉の目の代わりに、すりむき傷とあざだらけの弟が必死に涙をこらえな
 がら手を引いていきます。
  「おやまあ、坊やどうしたの?ひどい怪我して」
  少年は声をかけた婦人が母親とよく似た紫系統の服をしているのに安心したのか、
  「ひどいんだ…あいつらがお姉ちゃんをいじめるんだ~!」

  「そんな事はないでしょう、お父さんがいなきゃ、あなた達が生まれて来る筈無いわよ
 ねぇ?」
  「そうだけど…でもぼくたち、お父さんの顔見たことないよ」
  「お父さんの事聞くと、お母さん怒るの」
  「それはね…あなた達のお母さんは、お父さんの事を思い出すと悲しくなるからなの」
  セレナとヴィクトリオの姉弟が出会った金髪の婦人は、ヴィクトリオの怪我を魔法で
 あっという間に直してしまいました。公園のベンチに連れていかれた二人は、泣いてい
 た理由を聞かれて、とつとつと語りはじめます。
  「やっぱり…あいつらの言ってた通り、リコンしたのかな…」
  「それは外れ。あなたのお母さんは今でもお父さんの事大好きよ。お父さんのほうも…
 最近会ってないから判んないけど(^^;たぶん大好きな筈よ」
  「お父さんの事、知ってるの?」
  「え…ええ。今どこにいるのか判らないけど…あなた達が生まれる少し前に、この王国
 の危機を救った英雄なのよ」
  「うっそだぁ!そんなこと言って証拠ないでしょ」
  「あたしが証拠よ。本人から聞いたもの。その人には恋人がいたんだけど、ずっと赤ち
 ゃんができなかったの。ある時、もしかしたら死ぬかもしれない任務を果たさなくては
 いけなくなって…それで二番目に好きだった人に赤ちゃんを生ませたの。それがあな
 た達のお母さんよ」
  「じゃ死んじゃったんだ…あたしたちのお父さんもういないんだ…」
  セレナの瞳が再び潤み出します。
  「それも外れ。あの後あたしも一生懸命探したけど、死体も骨も見つかってないの。と
 いう事は、まだどこかで生きてるかもしれないじゃない?あなた達のお父さんは、世界
 一の魔法使いだったのよ。そう簡単に死にはしないわ」
  「英雄で世界一って…まさかあのセラヴィ?!」
  「あら、もう教科書に載ってるの?そうよ、"影の宰相"その人。さあ、お嬢ちゃんも涙を
 拭いて。泣いているより笑った方が可愛いいわよ…これ、あなた達のお母さんが初めて
 お父さんに言われた言葉なんだって(^^)」
  「うん…ヒック…うん…」
  「あ、怪我直してくれてありがとう。おばちゃん魔法が使えるんだね」
  「おばちゃん(~~;…まあいいか、お母さんより年上だもんね。あなた達、魔法はまだ習
 ってないの?お母さんも結構強い魔法使いだったのに」
  「お姉ちゃんがちょっと。ぼくは…才能ないみたい」
  「もう少しがんばってみなさい。あなたもセラヴィの子供なのよ」
  「そうだね。やっぱり魔法がないとお姉ちゃんを守れないもんね」
  「そうそう。…さて、おばちゃんも家に帰らなくちゃ。このメダルをお母さんに返して
 おいて。だいぶ使っちゃったけど、お金は先に払ってある筈だから」
  「わかった、渡しとくよ。じゃあね、バイバ~イ」
  「おばさんさよなら」
  「お母さんによろしくね~!お父さんの事はあまり話しをしちゃだめよ~!」

  「そっか…双子が生まれたのね…」
  姉弟がまだ手を振っているのに気付き、婦人も微笑みと共に手を振り返します。結局
 セラヴィを見付けられず、失意の帰還となる筈だったこの街も、子供達と話をしていく
 うちに…再び温かく迎えてくれそうな…そんな気がしてきたのです。
  「あたしももう一人、子供を育ててみようかしら…今度は女の子がいいわね」
  その晩、久しく主のいなかったどろしー城に明かりが灯り、かまどに再び火が入れら
 れました。やがてこの城は、厳しい叱咤と優しい慈愛の声で満たされる事でしょう。

     おしまい
  MAP5804  DELTA_WAVE
P.S セラヴィは実は生きていて、不倫がバレてどろしーちゃんに顔を合わせづらいのと、
 やっこちゃんの子供の認知が面倒な為、世界中を逃げ回っている説有り(^^;;サイテー
P.P.S 双子のCVは横山智佐と高山みなみを想定。なんとなく。(夢ちゃんと森ちゃん^^;)
P^3.S このおばはんはドリスぢゃないよ、ないってば!