#148 Article 21693 Posted at 1995/09/27 02:16:07 by DELTA (MAP5804) [STORY]

Subject: しいねちゃんとチャチャの初体験

しいねちゃんと、そのお師匠様のどろしーちゃん、ほうきに乗って高空にやって
  きました。七千m位の高さでしょうか、魔法の国の国境が、端から端まで見えます。

   しいねちゃん、顔が赤いですね。苦しそうに息をしています。
  「お…お師匠様、上空はやっぱり空気が…薄いんですね」
  「何を弱音はいてんの。気圧制御の魔法、だいぶ前に教えたでしょ?」
   よく見ると、どろしーちゃんの周りだけ光の屈折率が違います。
  「あれ、そうでした?そういえばそんな魔法も…」
   しいねちゃん、いわゆる「飛行機乗りの六分頭」、酸欠になっている様です。
  「もう、しっかりしなさい。それじゃこれから緩降下に入るから、ちゃんと真後ろを
   ついて来るのよ。いい?ショックコーンに触れでもしたら、ほうきがバラバラになるわよ!」
   地上でした注意を再び繰り返すと、どろしーちゃんのほうきがダッシュ。続いて
  しいねちゃんも降下を開始します。

   "涙滴形の空気の塊で、ほうきと自分をすっぽり包んでバリヤーとし、同時に全力ダッシュ
  と同じ推進力を連続して出す"。駆け出しの魔法使いには一つだけでも大変な仕事で
  すが、そこはそれ、優等生のしいねちゃん、難無くこなします。ただ、
  「すごい…バリアが歪む…お、お師匠様!まだ加速するんですかぁ!?」
   どうやら、こんな高速で飛行するのは初めてだったようです。(あ、SUBJECTのオチが…)

   やがてどろしーちゃんが衝撃音とともに音速を突破。しいねちゃんも遷音速域に入
  りますが、重心移動を忘れてピッチアップを起こし、危うくショックコーンに触れかかります。
  「び…びっくりしたぁ(ハアハア)…お師匠様の言った通りだ。バランスの取り方が全然違う!」
   おまけに音速に近づくにつれて急速に増大する造波抵抗。衝撃波が猛烈な力で気塊
  バリアを叩いて起こす気圧変動が精神集中を乱した事も手伝って、しいねちゃん上手
  く加速できません。

  「お師匠様がもうあんなに遠く…だめだ、このままじゃ追いつけない。パワーが足りな
   いんだ…でも急がなきゃ見失なっちゃう!」
  「ふふっ、しいねちゃん焦ってるわね。そ~らそら、超音速を出さないと、お空の迷子に
   なっちゃうわよ~」
   全く後ろを振り返らないふりをしていますが、どろしーちゃんコンパクトでしいね
  ちゃんの様子をちゃんと見ています。
  「お師匠様~待って下さぁ~い!お師匠様ぁ~ぼくを置いてかないでぐだざぁ゙い゙」
   おやおや、しいねちゃん半泣きですよ。いいんですか、どろしーちゃん?
  「…ぼくを(えぐっ、えぐっ、ぐしっ)置いてかないで…ぼくを…ぼくの……
   …ぼくの…力は…こんなものじゃないはずだあぁぁぁ!!」

   どおおぉぉん!

   後方に急激なマナの流れの変動を感じ取り、どろしーちゃんは満足げにコンパクト
  を閉じました。ふところからクラッカー(クリスマスパーティ等で使うアレ)を取り出し、上に向けて
  引くと、上空に燐光による魔法文字が現れます。
                  『よ く で き ま し た (花マルッ!)』


  「…というわけだったんですよぉ。いやぁ大変でした。でも音速の壁を突き破った後は
  割と楽でしたよ。何ていうか、まとわり付いてた水飴みたいな物が、いきなり後ろに吹
  き飛んだって感じでしたね」
   ところ変わって、ここは翌日のうらら学園。バナナ組はしいねちゃんが音速を超えた
  という話題でもちきりです。もちろん、その時半泣きで鼻水ダラダラだったとか、はじ
  めのうち減速も転回もできず、スクランブルで上がって来た隣国の国境警備隊に追い
  かけまわされたとかいう事実は伏せられていましたが。

   特に、お目々(@o@)状態なのは、御存じこの二人。
  「すごいすごぉ~い、しいねちゃんすごぉ~い!」
  「やりましたねしいねちゃん、すごいですぅ!」
   まるで自分の事のように喜んでいますね。もちろんリーヤは、むすっとした顔でふて
  くされています。
  (「けっ、なんでぇ自慢話なんかしやがって…」)
   そしてここに、フッと冷笑をもらす美少女が一人。
  「あらそんなの、どうって事ないわ。あたしなんか一年も前に音速突破したわよ」
   同学年で初の超音速だと思っていたしいねちゃん、この言葉にちょっとショック。
  「え?…やっこちゃん、それっていつ、どこの話ですか?」
  「それはぁ、(POMっ)このビデオの…(ピクチャーサーチをしている)このシーン!」
  「二代目OPですね…これが何か?」
  「あっ、セラヴィー先生だ!で、やっこちゃんが落ちてきて…どばーん」
  「落ちてんじゃないの!この時音速超えてたんだってば!!」
  「やっこちゃん、痛いの…腎臓は蹴らないで(;_;)」
  「という事は…なぁんだ、急降下での音速突破なんですね。ぼくの場合、水平飛行です
   から、重力を使わず自分で加速しているんです」
   グサッ
  「それとやっこちゃん、この時引き起こしに失敗して海面に激突していますね」
   グサグサッ (-_-#)←あっ!
  「や、やっこさん、よく無事でしたねぇ。どうやって助かったんですか?」
   しいねちゃんとやっこちゃんの溝が決定的になる前に、自ら緩衝材になろうとする
  お鈴ちゃん。うんうん、いい娘だにゃあ。
  「ほうきを強制爆破してエネルギーを吸収させたの。いいほうきだったんだけど…その後
  出したスペアのほうきじゃセラヴィ様に追い付けなかったし。はあ…セラヴィサマ…」
   やっこちゃん、上手く「あっちの世界」に撤退してくれたようです。

   このやり取りの間に、チャチャの表情が急に曇り出しました。
  「…いいなぁ、ふたりとも…あたしも音より速く飛んでみたい…」
  「あんたにゃ無理よ」←もう戻って来ちゃった
  「ぐっすし(;_;)」
  「そんなことは有りません!ぼくに出来たんだから、チャチャさんだってきっと出来
  ます!」
  「でもあたし、ふたり乗りもできないし…」
  「お助けブーメランに追いかけられた時だって、ぼくと同じスピードが出せたじゃな
  いですか!」
  「あの…ジェイションから逃げてた時も、やっこさんと変わらないスピードでした。
  チャチャさんも練習すれば、きっと音速を超えられます」
   お鈴ちゃん、君の思い人は君の気持ちに気付いてないんですよ。そんな助け船を出し
  たら…
  「そうだ、チャチャさん!今日の帰り、一緒に練習しましょう!」
   ほら、こんな事になっちゃった。

     MAP5804  前半終わり。やっこちゃんがちょっと不遇  DELTA_WAVE

P.S 「ちぇっ。何でぇ魔法使いばっかで固まってワケわかんない話しやがって。チャチャ
    もチャチャだよ、そんなにしいねちゃんと二人きりで練習したいのかよ。そーかい
    それなら俺にだって考えがあるぜ。きょう一日、マリンとデートしてやる!」
     その話、書こか?えーと、"りんご組で貝殻盗聴機を耳に当てていたマリンちゃんの
    表情が急にぱあぁぁっと明るくなります。「リーヤ君とデー…
    「……やっぱ、止す」
P.P.S  すごいぞ!シチュエーションを与えて舞台に置いとくだけで、キャラクターが勝手に動いてここ
      まで書けた(私の才能じゃない…元々んなもん無いが)。