#13 Article 9570 Posted at 1995/02/08 17:57:00 by WAK (MAP5274) [CONSTIT.]

Subject: Re:*11 読売の「改憲試案」について /9156 .... /9093 /9082

>別の言い方をしますと、私は近代以降の軍事史をひもとくに、次のような
>区分が単純ではありますが、可能と考えております。

> 1.フランス革命以前(前近代型軍隊=MOS さんのいう傭兵軍)
> 2.フランス革命期~第一次大戦(19世紀型軍隊)
> 3.第一次大戦~1980年代(20世紀型軍隊)
> 4.湾岸戦争以降

 以上は軍事史の常識すらわきまえないで話を進めるから、ウソをばらまいて
しまう典型例です。
 徴兵制の話をするなら、少なくとも以下の分類は必要です。

  1)15~16世紀頃までの、訓練された傭兵の時代。
   傭兵隊長と傭兵の利害が一致。傭兵部隊は、国王が私的に雇う。

    2)16~18世紀の、農民の賦役的な徴兵と、ごろつき傭兵の時代。
     逃亡防止のために、相互監視の密集隊形と兵站に拘束される。
     「国王が雇う傭兵」から、「宮廷貴族が指揮する軍隊」の発生。

    3)18世紀の「国民軍隊」の時代。愛国精神と、個々の自立精神が旺盛で、
     散兵戦術が可能に。兵隊と指揮官の利害が一致。

    4)19世紀以降の「徴兵軍隊」。兵はもはや「駒」に過ぎない。帝国主義下
     の「外征軍隊」の時代。現代の軍隊は、まだこの流れにある。

 以上を主軸として、「日本はどうだった」「イギリスはああだった」と論じ
る方が、はるかに有意義です。
 だいいち、
> 2.フランス革命期~第一次大戦(19世紀型軍隊)
では、フランス革命干渉戦争と普仏戦争がゴッチャでしょう。


> つまり(「海軍」以外に)「空軍」ならびに「ハイテク地上
>軍」。それを維持するには、大規模な人員は必要とされないわけです。
>理由は簡単で、海軍も空軍もハイテク地上軍も、兵員数よりも兵器の方が
>強弱を評価する上で意味があるからです。

 大規模な人員は必要です。だから軍属という地位の技術者が要求されている
んです!
 「ハイテク地上軍」ったって、フリント銃も当時は「ハイテク」ですし、フ
ランス革命干渉戦争を撃ち破ったフランス軍も、「部品の共通規格化による量
産」という「ハイテク技術」に支えられた小銃を使えたんです。
 言い替えれば、ハイテクノロジーというのは、その時代にとってハイテクな
だけなんです。
 第二時大戦時の、米軍重爆に装備されたノルデン照準器なんて、すごいハイ
テクだけど、さて、そのころの米軍の動員形態はどうでしたっけ。


>私は日本の戦前の制度は「選抜」でない、通常の徴兵制だと考えています。

 選抜徴兵性は、「通常の」徴兵制です。特殊でも何でもない。
 それに日本は「選抜徴兵制」でした。甲種合格者の中からさらに抽選で兵役
に就く者を選んでいたのです。この抽選が廃止になったのは、日華事変も泥沼
となった1939年の兵役法改正からです。

>確かに「甲種」「乙種」「丙種」…なんていう違いはありましたけど、それ
>は徴兵検査の区分であって、選抜徴兵制とは違う意味でしょう。

 「甲・乙・丙」云々は、体格を厳格に反映し、それは結果として職業によっ
て選抜する事にもなったのです。すなわち、農漁村出身の兵士が多くなり、体
格が貧相で視力の弱い者の多い高学歴者(即ち富裕階級)は、自然と兵役からは
ずされることになったのです。
 こういうところからも日本の徴兵制の「歪み」を見ないと、昭和期における
軍閥の台頭から軍紀の崩壊、南京、沖縄、さらには大戦末期の「義勇兵役法」
や植民地における徴兵の実施が理解できなくなります。


>徴兵制が優秀な人材を集められるとは必ずしも思わないのですが…。徴兵さ
>れた者全員が将校となるなら別ですが、実際は兵員として徴兵するわけです
>から。

 近代の義務教育による初等教育の普及は、兵器の取扱説明書を読める兵隊や
叩き上げの士官・下士官の確保、動員即戦闘の可能な兵隊の確保ができます。
 さらに、徴兵制にからんでの軍事教練による戦闘力の強化、「配属将校」と
いう名で現役将校の頭数が確保できるというメリットもあります。
 だから、
>兵員に兵器システムについての高度の教育(時間、費用…etc.)を与えなけ
>れば使いものにならないわけです。兵器システムを上回る兵員を抱えても、
>私が先ほど挙げた4のタイプの軍隊(若林注・西形氏の言うハイテク軍隊)に
>おいては意味がないわけですし。
は、ここでも破綻してしまうのです。

>そしてベトナムやアフガンの経験は、ゲリラの根絶がいかに困難であるかを
>教えたのであり、それに対して編み出されたのがLICという概念とこれへ
>の対策であったことは、既に述べました。

 ゲリラの根絶がLICを産んだのではありません。地域の危機管理(これに
は先進国の思惑が満ち満ちて…)としてのLICであり、ゲリラ対策というの
は、付随している現象にすぎないんです。

            Art 9223へのfollowに行きます WAK(MAP5274)