#13 Article 8987 Posted at 1994/10/28 21:24:31 by かくた (MAP4496) [BOOK]

Subject: Re:*8 本が買えない /8981 .... /8968 /8965

論点が広がっているようですが……。
 まず申し上げたいのは、書籍の再販制度の問題と、取次を経由した書籍流通の問題
は別ものだと言うことです。再販制度は本の定価販売を義務付ける制度ですが、取次
は本の価格を管理しているわけではなく、たんに本を流通させるのが仕事なわけです
から。
 というわけで一応、欲しい本が手に入りにくいのはなぜか、という問題に絞ってre
sするため、再販制度についてはノーコメントとさせていただきます。

 取次店を通した本の流通は日本独特のものです。蛇足になるかと思いますが一応そ
のプロセスを解説しますと

・出版社が自社の本を取次に預ける。
・取次は預った本の冊数と、全国の書店の規模、性格、そして注文などを参考にして
小売店に卸す(配本)。
・書店は配本された本の代金を取次を介して出版社に支払う。

 こうして出版社は、全国の書店への配本、集金などのこまごました手続きを、すべ
て取次に代行させることができます。社員が1人でも出版社としてやっていけるのは
取次あってこそと言えます。仕入・支払を省力化できるのは書店側も同じで、店番の
オヤジひとりでも経営できるのは取次のおかげです。そして取次が大規模になればな
るほど流通の省力・省資源化もはかれるというわけです。
 しかしここまでなら通常の生産者・問屋・小売店の関係とあまり変りません。実は
次が重要な点なのですが、

・決められた期間内に本が売れなかった場合、書店はその本を返品して出版社から代
金を返してもらうことができる。(買取の場合など一部の本をのぞく)

 つまり書店は並べた商品のうち売れた代金だけを出版社に支払えばよいわけで、他
の小売業と違って仕入れすぎて在庫がだぶついても、返品さえすれば損をしません。
日本津々浦々の中小書店の経営がなりたっているのはまさにこのおかげで、出版社と
書店が直接取引している諸外国ではまず考えられないことです。大小数多くの出版社
から膨大な点数の本が毎年発行されるのも、このような基盤のもとになりたっている
ことです。

 それではこのような流通のデメリットはというと、やはり取次から生じるのです。
 取次は売れた本からマージンを取るだけなので、書店に配本した本が売れないと話
になりません。取次にしてみれば、年に数冊しか売れないような本を書店の注文に応
じて出版社から1冊1冊とりよせて配本するより、売れる新刊をドカンとまとめて配
本するほうが利益率が高いのは当然です。従って大部数で売れる本、売れる出版社、
売れる大書店が歓迎され、中小の出版社・書店そして小口の注文は冷遇される傾向が
あります。
 さらに取次が処理できる出版社数・出版物点数はすでに限界に近づいており、取次
は出版社の新規参入や小部数出版物を嫌うということもあります。

 他にもいろいろありますが、宮崎TICOさんがはじめに問題にされたような点は、
上記のような現状から生じたものだろうと思われます。
 このような問題を解消すべく、取次を介さない本の流通経路もいくつか模索されて
いるようです。ある運送会社では本の宅配サービスをやってるらしいです。電話で注
文でき、注文後2、3日で自宅に届くそうですから、小出版社の小部数出版物を入手
するには最適だと思います。

                                   かくた