#13 Article 8693 Posted at 1994/08/30 16:45:08 by 自主管理 (MAP3788) [SENKYO]

Subject: Re:*11 新選挙区に思う /8683 .... /13633(#130) /13488(#130)

さてお約束通り、私の政治改革、並びに政治全般に関する考えをUPします。

題して「リーダーシップか、コンセンサスか」。

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1.はじめに

前に、お~いしいよ さんの書き込みに、こういうのがありました。

>結局は選挙制度じゃないんだよってことと、選挙制度は大中小、比例制しかな
>いと短絡にしてしまっていいのか、ってことが云いたいです。

結局は選挙制度じゃない、ってのは「政治腐敗」の観点からすれば、まさにその
通りです。
小選挙区に関しては奄美や腐敗防止法成立前の英国など、挙げるまでも無いこと
は、私が前に書いた通りです。
そして比例代表に関しても、イタリアなんかの困った例があります。また中選挙
区制を挙げるなら、日本でしょう(他にも例はありますが)。

選挙制度と「政治とカネ」の問題には、あまり関係がない。それが私にとっては、
根本にあります。

しかし……。

>「いい」とか「悪い」とか言った単純な二元論では、オトナの会話は成り立たない(笑)。

上は #22 における ゆ~さくサンの発言から引用させていただきましたが、まさ
にこの通りだと思うのです。
「今回の問題は「政治腐敗」の話がいつの間にか「制度改革」にすり替え
 られた。……」
それはよくある議論なのですが、しかし「政治腐敗」が「いい悪い」の単純な
二元論で語られる話であるのなら、「制度改革」は背景に政治観の対立がある
以上、もう少し議論としては高級な位置にある。
そのことは考えておく必要があるのではないでしょうか?
実際、私が関わってきた革新系の小選挙区反対運動は、大抵「企業献金の禁止」
「政治腐敗防止」をスローガンに掲げていました。
逆にいうと、そこに限界があったのでしょう。相手が「政治」全般にわたる論、
政党政治の確立に関する論を提示しているのに、こちらは相変わらずの「金権
腐敗が全ての根源」。
私はそれがイヤで、代わりに「比例代表の即時実施」という旗を掲げたのです。


2.小選挙区とリーダーシップ

さて……。

小選挙区と比例代表の間には決定的な違いがあります。
それは「代表制」ということ、そして政治のあり方に関する、根本的な考えの
相違であるわけです。

小選挙区制は、一つの選挙区からは一人だけ、議員を選出する。
……従って、当選につながらない票(「死票」)が多数でる。それはよくいわれる
ことです。
それも重要ですが、私はそれとは別の論点を提示します。

「議員」を一人選出する、ということは、その地域(選挙区)においての国政に
関する意志を、一人に集約させる、ということになります。
つまり、その一人の「リーダーシップ」を期待するわけです。

……しかし政党がある以上、その選挙区の全てを代表できるわけではない。と
いうことは、結果としては特定の政党に過度のリーダーシップを与えることに
なるのではないか?

落選者にも次の選挙で返り咲きできる目がある。という議論も目にしますが、
小選挙区制が議席の固定化を招くことは、これまた諸外国の例が示唆していま
す。英国では651議席中、保守党と労働党が各々約200を完全に確保して
おり、従って政権選択に関われるのは残り250の選挙区…しかもこれはイン
グランド中部とロンドン近辺に集中している…の住民ばかりであるという、困
った調査結果も出ています。アメリカも似た傾向にあります。

実際、勝ちそうな党への「鞍替え」もよく発生しそうですしねぇ。「鞍替え」
が政党政治というより、むしろ議員の個人政治に付随しておきる現象である
ことは、間違いないと思います。それは議員にリーダーシップを期待する以上、
当然の結果ともいえます。
また歴史的な経緯を見ても、小選挙区は(大選挙区もそうですが)「政党」とい
う現象が発生する以前に考え出された制度でした(19世紀前半)。つまり「議
員個人がその選挙区の全てを代表する」というリーダーシップの発想、ある意
味では幻想がまだ通りうる時期に、考え出された制度だったのです。

そう考えると、小選挙区制はやはり「政党政治」には適さない制度なのでは
ないか? そういう疑念が発生します。しかし政党化が必然の現象である以上、
これは特定政党の「圧勝」を招くことにもなりうるでしょう。

「圧勝」となると、過度のリーダーシップということは、国会においてもいえ
ることになります。
リーダーによって日本の政治が動かされる。それが小選挙区制論者の民主主義
観であり、それは『日本改造計画』を見れば、わかることです(これを見れば
MOS さんの考えとは違って、今回の「選挙制度改革」推進論者が小選挙区制の
導入を中心に考えていたことは、明白なんですよね)。


3.比例代表制はコンセンサスを重視する

日本の政治は保守政党を中軸に、革新の部分的な参加によって成り立ってきた。
小選挙区制の下ではごく一部の選挙区を除けば、勝ち残る候補者は保守政党に
属する者ばかりでしょう(政党は違うかも知れませんが、鞍替えが発生すれば、
所属政党など意味をなさなくなるのは、明白です)。
いうなれば「中軸」の部分だけで、リーダー間の政治を行おうとする。それが
小選挙区制であるとすれば、比例代表制はより「全社会的」な制度であると
いえます。

現代の社会は価値観の多様化が図られている。
同じ「保守」であっても、自民党右派(亀井静香とか)、新生党(新保守主義)、
さらに保守リベラルの潮流(宮沢、河野、さきがけ)……といった違いがありま
すし、かつての「野党」が自民党のそれに先んじて多党化していたのは、無論
皆さんがご存知のことでしょう。
さらには環境保護といった、新しい社会運動、政治参加の流れもある。

そういった「社会の縮図」が議会であるべきだというのが、比例代表制の根本
にある考えです(「社会学的代表制」といいます)。
つまり政治を少数のリーダーに委任しないで、小さな党も含めた、多くの党に
委任する。
多党化が図られますから、大抵は自らの信条に近い党が見つかるでしょう。全
く無いのなら、自分で政党をつくればいい。比例代表制はそれを排除しない制
度です。

さて、多党化は政治混乱のもとである、というのはよくある考えです。しかし
私はそうは思いません。
問題は、多党制の下で妥協、合意、コンセンサスが図られなかった場合に発生
します。逆にいうと、比例代表制下での議会政治は、コンセンサスの形成を重
視する必要はあり、確かにそれが無ければ、比例代表制はその基本理念を失い
ます。
しかし、だからといって多党制や比例代表制を否定することにはつながらない
でしょう。本来、少数意見をも尊重し、できるだけ幅広い形での合意を図るの
が、民主主義のはずなのですから……小選挙区論者は、私からすると短絡的に
「多数決が民主主義の原理である」と主張しますが。

よく考えると、現時点のようにどんな政党間の組み合わせもありうる状況は、
非常に比例代表制に適しているといえます。
今の小選挙区の区割りのまま、比例代表部分を「併用」「連用」のそれに変え
れば、そんな悪いものにはならないのですが…。少数党である「さきがけ」あ
たりが提案しても、いいんですがねぇ?

ただ、これまでの中選挙区制政治もまた、永田町の中ではコンセンサスを形成
してきていた、とはいえます(国対政治とか…)。しかし、それは民主的なもの
とはいえませんでした。
ならばコンセンサスの形成を有権者の手に委ねよう、少なくとももっと明白に
しよう、というのが私の考えです。


4.おわりに

私は「リーダーシップ」と「コンセンサス」という二つの論を立てて、考えて
みました。
私はコンセンサス政治の方が良いとは思いますが、やはりリーダーシップが
必要なのではないか? と考える方もいるでしょう。別に「小沢的なもの」ば
かりでなく、「死刑廃止」なんかも実は政治がイニシアティヴを取るべき問題
です。
そう考えると、実はこの二者「リーダーシップ」と「コンセンサス」の間でも
また、これを二項対立とは捉えずに、コンセンサスを形成していく必要がある
のかも知れません。

選挙制度の問題は、実は民主主義観の問題なのです。民主主義がよい、のは
既に当然の前提となっているのですから、議論は「どういう民主主義がよいの
か?」という点で行われるべき。
その意味で選挙制度、あるいは(国民投票制まで含めた)政治制度の問題は、も
っと語られてもよいのではないでしょうか?

						西形 公一
						  (自主管理 MAP3788)

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ご意見、反論等、お待ちしております。

しかしこれはハードだなぁ……。
あと小選挙区部分のツメが、甘いような気もするし。中選挙区制については、
ほとんど無視だし。