#13 Article 5761 Posted at 1991/08/25 02:48:10 by ブルア (MAP1060) [ANNE]
Subject: Re: アンの青春 /5759
うーん、正直いってちょっと期待はずれだったなぁ。 原作では、マリラとアンで双生児を育てながら、アヴォンリー小学校の教師とし て、静かに暮らすというお話でした。「大草原の小さな家」のようにゆったりとし た描写を描くことは、劇場版にもなると無理なんでしょう。物語の最初にリンド夫 人が牛を連れてアンに押しかけるシーンがありますが、原作ではグリンゲイブルス の隣に越してきたジェイムズ・ハリソンという海賊めいた奇妙なおじさんがこの訳 を演じます。リンド夫人が出て来たおかげで、私が考えているアンの世界感を閉ざ していまいました。しかし、これはこれで別な意味で楽しめる作品だったと思いま す。父親から離れて育ったエメラインの自立から、アヴォンリーから都会へ出てか らのアンの実力を認めてもらうまでの過程、自分にとって必要な人物を追い求める までにいたったアンの青春。これで完結するのであれば結構良かった作品といえる でしょう。 私の考えているアンの世界感は別なわけでありますが、それをちょっと紹介しま す。 ある気持ちのいい八月のこと、プリンス・エドワード島の一軒の農家の玄関さき、 赤い砂岩の踏段の上に背の高い、ほっそりとした少女がすわっていた。年は『十六 歳と半』。その少女は夢想にふけている様子だった。灰色のまじめな目の中は、言 葉では表せないほど深くそして広くひろがっていた。そよ風がかすかな音をたてて ポプラの木々にささやき、桜の果樹園のかたすみには、うすぐらい若樅(ワカモミ)のし げみを背に、燃えるような赤いけしの花が首をふっていた。少女の魂は既にそこに はなかった。そよ風にふかれながら中を舞って、森の妖精たちとおしゃべりを楽し んでいた。そこにはマリラやマシュウの他に、なぜか心にもいなかったはずのギル バートまでがいた。その夢想にふけている少女こそクスバート家の娘、アン・シャ ーリーである。 と、ゆったりとした情景を絵に描いたようです。ギルバートは例の「にんじん」 事件以来、完全ともいえる日々を過ごしてきました。心では想っていたにしろ決し てアンに打ち明けることはしませんでした。ダイアナの方は、アンと知り合ってか らお互いを同類であると認めずっと親しんできた仲です。それが時を経るにつれだ んだんと薄れてきます。アンの青春の最後には、ダイアナはフレッドにプロポーズ されますが、ギルバートへの想いもいつしかなくなり、それに応じます。「結婚し てダイアナを連れて行ような男がいたら、その男を一生恨んでやる」とまで言って いたはずのアンも、ダイアナとはもう同類ではないと認めはじめます。そういった なにげない生活の中でもいろいろと曲り角を折れ、それぞれがそれぞれの道を歩い て行きます。エメラインに似た(原作では、教え子の一人で祖母に育てられた少年) ポール・アービングという少年が登場しますが、この少年こそアンと同類でお互い に同じような想像をする能力があります。 まだまだ話したいことがありますが切りがないので、この辺にします。 劇場版に批判めいたことが多くなってしまいましたが、堪忍してちょ。 ブルアより (MAP1060)