#13 Article 10922 Posted at 1996/07/01 01:32:37 by MSP-Iris (MAP4370) [DSM.IV]

Subject: Re:*19 就職活動と記憶操作 /10901 ...... /5405(#210) /5219(#210)

>  ただ、僕のような一般人にそれを要求されるのはどんなものでしょう?

 これはケースバイケースですね。今回の件については、先にも述べた2点により
要求されうる要件を満たしていると考えます。再掲しますと

1.「~なんだよなあ」という書き方
2.医学情報であるという特殊性

 特に問題は1ですね。これは「俺は知っているぞ」という意味合いがありますか
ら、一般人だからという逃げは通用しません。

>  むしろ、一般論を越えて、いかに専門分野で有用であるかを示し、
>  また、いかに問題がないかを、専門の方が説明することが大切では?

 これは診断基準の原文面を読むことによって達成されると考え、いろいろと説明
してきたつもりです。「有用であるか」ではなく「問題があるか」についての議論
でしたが。そんなに難解な文面ではありませんし、技術的な単語も少ないですから、
実際に読んでみてその基準に対しての判断は医師でなくとも出来るでしょう。

> 「あくまで精神病患者に適切な治療をほどこすために分類するのであって、
>  DSMで分類されたからといって、精神病患者であるわけではない。
>  これは一見自明のことに思えるが、ときとして逆転しがちである。

 そもそも精神病患者とはなんでしょう?
 広辞苑によれば

 「病気:生物の全身または一部分に生理状態の異常をきたし、
                      正常の機能が営めなくなる現象」

 DSMの基準には先にも書きましたように「本人の苦痛/社会的機能低下」とい
ったものが含まれています。ということは、DSMを満たすということは「正常の
機能が営めなくなる」ということですから、つまりDSMを満たした時点で病人で
ある、という見方が一つ。この三段論法に反論の余地はないと思いますけど。
 むしろ、患者が困っているのにDSMの基準では診断がつかない、というほうが
多いように思えます。


 もう一つの見方は、見落とされがちな点があるのですが、

・患者が医者のところに来ている

 ということがなにを意味するかです。
 これは消化器内科の先生が言ったことなのですが、

 「患者が腹が痛いと言ったら、ただ単に腹が痛いのではない。
                    “医者にくるほど”腹が痛いのだ」

 精神科という(イメージの悪い(^^;)ところにくるからには、それだけ患者乃至
周囲が困っているわけで、その患者に対してDSMによって診断を行い、治療を開
始するということに非難されるいわれはないと思われます。


>    むしろ、精神医学ではそうした通常の合理的判断(や研究)も
>    なかなかなされなかったという証左とすることすらできるのでは?(^^;

 それは違うでしょう。
 「通常の合理的判断」というのは「現在の合理的判断」ですし、「なかなかされ
なかった」という根拠もないです。

>  ロボトミーやら優性治療やらが行なわれたのは、
>  遠い過去の話ではけしてないのですから(極論ですか?)。

 そういう現代では異常と思われる治療法も、当時は合理的であったのでは?
 その時の医学基準でこれしか治療法がない(乃至最善と思われた)のでは?

 うつ病にたいする「電気ショック」なんてのも、かつては頻繁に利用されていま
した。当時はこれが一番よく効いて、一番合理的だったわけです。
 しかし、現代では抗うつ薬がでてきて薬物治療が中心です。それでも薬物に反応
しない場合には、いわば最終手段として利用されています。
 もし今後薬物が進歩すれば電気ショックはまったく使われなくなるかもしれませ
ん。逆に薬物にとんでもない副作用が見つかれば、電気ショックが復活するかもし
れません。

 実際に行われた医療が合理的であったかは、医事訴訟でよく争われる点ですが、
その時代/状況に見合った医学レベルによって、その判断基準は変化するものです。

 今有効とされている治療法だって、100年たったら「非常識極まりない」とし
て糾弾されているかもしれません。


 そもそも
 「自然科学:自然に属する諸対象を取り扱いその法則性を明らかにする学問」
 という定義のどの辺が問題なんでしょう?

                                  MAP4370    MSP-Iris