#127 Article 497 Posted at 1993/04/01 06:09:34 by KYOGO (MAP2034) [NO.22]

Subject: Re:*11 涙、涙のノラねこブルース /495 .... /482 /481

《すいません、長文です》

うん、いかった。とってもいかった。
でも、期待どおりにたっぷり満足、ってわけにはいかなかった。
前回の話をみて、ずず~~んときて、「おおお、これは続きも期待だ~~」っと
盛り上がった心を満足させるほどには、いかなかった気がします。

ではいったい、どのへんがイマイチだったんだろう?
・・・ってことを、なんとなく考えてたら、2点ばかり思いつきました。

いったん人が完成させた物に対して、あとからあーすれば、こーすれば言うのは
バカでもチョンでもできることだし、あまし好きではないのですが、
まーこの際だ、書いちゃいます。


まず1点め:
 ジェリーがどうしてこんな猫になってしまったのか、
 どういうことがあって、人間とうまくやっていけないようになったのかが
 まったく描かれてない点。
 そのおかげで、ジェリーの一連の行動に、もーひとつ説得力がない。

 例えば、ジェリーがあのオルゴールに、あれだけの執着を示したのは、それが、
 幸せだった仔猫時代を思い起こさせるものだからですが、その「幸せだった
 仔猫時代」が描かれているのに、そのあとの「不遇な時代」が描かれてないため
 しつこい執着の示す意味が、いまいち伝わりにくくなっています。

1点めの理由として考えられること:
 しかし、ジェリーの「不遇な時代」を描くのは、以下の2つの理由から、
 困難(あるいは好ましくない)です。
 ひとつはストーリーの構成上の理由。この話では、ジェリー関係のことはあくまで
 「みかん」の視点からしか描かないことにしているため、ジェリーの身の上に
 起きたことは、ジェリーが自分からみかんに話さないかぎり、描く手段が
 ありません。しかし、ジェリーが自分から話すワケないのはもちろんです。
 もうひとつは作品全体の演出上の理由です。そういう「不遇」のようなエピソードを
 そのものずばり描くのは「みかん・絵日記」らしくないってとこですね。
 周囲の状況や人物(猫)の行動から、じんわりと伝える、というやりかたで
 やってこそ、この作品らしいわけです。

 で、実際に、ジェリーの「不遇な時代」について触れている部分は前後編とおして
 1ヶ所きりで、とられた手段は、ジェリーの身の上に何が起こったかを
 みかんが推測する、というものでした。
 前編の「おれにはわかるよ、~近づいて、裏切られて、~」のくだりなのですが、
 これがすべて、長セリフ1本で、言葉のみで説明されてるので、説得力が少ない。
 (それでもなお、この部分は大きな泣かせどころですね。私もここで一発、
  じーんときちゃいました。でも、それが「前編」にしかなかった)

 おばあさんの方も、ジェリーと同じく「理由あってのかたくなな態度」であり、
 この人もまた、自分から言うような人ではないのですが、こちらはおとうさんの
 口から語る、ということで、理由が説明されていますからね。

 後編で1回くらい、猫どうしでも草薙家関係でもない、一般の人間に対したときの
 ジェリーの行動、みたいなものをほんの少しでも入れてやると、
 少しは説得力が出たかもしれないな、なんて思います。むつかしーけど。


2点め(こっちの方が大きい問題ですが):
 後編の最大の泣かせどころである「ジェリーがオルゴールを涙ながらにあきらめる」
 シーンが、2ヶ所に分散してしまった(夜桜公園と、草薙家前)点。

 2回とも、みかんの説得によりジェリーの心が動くわけですが、1回めと2回めで
 みかんの持っている情報(=説得する材料)に、ほとんど差がありません。
 そのため、説得のセリフも同じ内容です。(「このオルゴールはおじいさんの
 オルゴールではない」という意味のセリフ)
 さらに残念なことに、より泣かせるセリフであるところの、
 「あの日はもう、帰ってこないんだよ」を、1回目で使ってしまっています。
 このため、夜桜公園でそのセリフを聞いていったん引き下がったジェリーが、
 草薙家の前でもう一度オルゴールを奪いとり、さっきと同じ内容の説得(しかも
 さっきよりインパクトが弱い)ですぐに自発的に返す、というヘンなことに
 なってしまってます。

2点めの理由として考えられること:
 つまるところ、「みかんが、オルゴールの音でおばあさんを家に誘導する」(つまり
 この時点でオルゴールはみかんの手になければならない)と、「ジェリーが自発的に
 オルゴールを返す」(これをやると、それ以降みかんの手にオルゴールが
 渡ることはない)の2つのエピソードを、なんとか両方やろうとしたために、
 こうなってしまったわけですね。
 もうこれは、このエピソード構成で行く以上致命的な問題点なので、どちらかの
 エピソードをあきらめるか、エピソードの構成をまったく変えるかしないかぎり、
 解消はできないと思います。

 私は、「オルゴールを自発的に返す」というエピソードをはずしてでも、
 「ジェリーがオルゴールをあきらめる」を1ヶ所に集中して、じっくりやって
 ほしかった、という気がします。なんといっても、この
 「ジェリーが涙ながらにオルゴールをあきらめる(=幸せだった仔猫時代の
 郷愁との訣別)」こそが後編での一番の泣かせどころであり、また、
 「涙、涙の野良猫ブルース」というタイトルと合うところでもあるわけですから。


ところで:
 こうして検証しているうちに、気になるところを1ヶ所みつけてしまいました。
 吐夢がみかんに、オルゴールを取り返すように依頼したときには、「あれは
 おかあさんの大切なもの」としか言ってなくて、みかんはオルゴールについて
 それ以上の情報を知らなかったのに、どうして、あの音でおばあさんを
 動かせることがわかったんでしょうねえ?
 でもまあ、これって、論理的にはキズなのですが、実際に放映を見てると
 全然気にならないから、まあ別にかまわない、ですね。
 (わざわざこれを回避するためにセリフを増やすほどのものではないでしょう)


と、まあ長々と書いてしまいましたが・・・
さてさて、この前後編について、ゆ~さくのダンナは、どういう感想を
お持ちなのかしらん? 楽しみにしてますわあん。

                                 KYOGO