#126 Article 11072 Posted at 1994/01/07 22:36:20 by MAY.H (MAP4167) [NOVELS]

Subject: 姫ちゃんノベルズNo.8

どおもっ。自称小説家の MAY.Hです。

明日(1/8)から1/16まで休みがとれたんで、実家(福岡)に帰ります。
(正月帰ってないもんで・・・)

しばらくは、この「姫ちゃんノベルズ」をお休みしますがみなさん。見捨てないでね。

帰ってきたら、再放送の「姫ちゃん」に負けない様にまた書きますんで、その時は
またよろしくお願いします。


毎回楽しみにしていた人達には申し訳ないと思いますが、みなさんに楽しんでもらえ
るお話しを書きますんでその時まで待っててね。(そのかわり、今回は長いよ)

あと、この物語、はっきり言って当分終わりそうにないです。(いいのかなあ?)

なんか、言い訳になってしまったけど始まり始まり!!

よっ8回目!!
       「姫ちゃんのリボン ~夢物語編~」

第一話 恋の季節は師走のなかで

●S-14 野々原家

空が白み始め、朝がやってきた。
相変わらず姉の愛子はきちんと時間通りに起き、末っ子の夢子も愛子に起こされ
キッチンに降りてきていた。
母親の花子は徹夜明けらしく険しい顔をしている。
我らが姫ちゃんこと姫子は、朝、布団の温もりの中、惰眠をむさぼっていた。
過ぎていく時間はよそに、姫子は夢の世界にいたが、ポコ太に起こされ、あわて
て起きだし、いつものドタバタ劇が始まった。
家族の方も慣れてしまって、慌てた風もなく食事を続けていた。

そして、姫子は例のごとくトーストをくわえて家を飛び出して行った。

●S-15 風立市内

「あー、今日は完璧に遅刻だー」
そんな事を呟いている姫子の後ろから一台の自転車が近づいてきた。
「よっ野々原、朝から大変だな」
「あー今、忙しいから後にして」
振り返る間もなく姫子は走る速度を上げた。
「なんだよ」と思いながら大地は姫子の横に自転車をつけていた。
しばらくは、そのままの状態で走っていたが、大地もこのままでは確実に遅刻す
ると思い、更に速度を上げ姫子を追い越して行った。
(大地の奴、何も急に行くことないじゃない。)
そう、思いながらふと前を見ると、大地がこちらを向いて待っていた。
「急げ、遅刻するぞ。」
「なによ、あたしのことはほっといてさきに行ったら・・」
姫子が話終わらないうちに大地は言葉を遮った。
「いいから早く乗れ!」
「えっ」
「早く乗れって」
姫子は大地に促される様に後ろに乗った。
そして、両手を大地の肩に起き、軽く体重をのせた。
「おまえ、結構重いな」
「なによ!」
笑いながら、話しかけてきた大地に対して顔を赤らめた姫子は、大地の頭を殴った。
「痛てっ、それより飛ばすからしっかりつかまってろよ」
そう言うが早いか自転車をこぎ始めた。
いつもより飛ばしている大地の息づかいを、両手で感じながら姫子はそっと身をよ
せていた。
「の、野々原、重い」
「もう、大地ったら(せっかくの雰囲気が台無しじゃない)」
校門の近くへとやってきた二人は予鈴の音を聞いた。
「野々原!、飛ばすぞ!」
「うん」
姫子はしっかり大地にしがみつくと、ハっと我に返り顔が真っ赤になってしまった。
大地の方も、さっきまでのふざけた態度を取らず、姫子の温もりを感じながら校門を
通過して行った。
そんな大地をよそに姫子は自分の世界に浸っていた。
(大地の背中って暖かい。それに、いつも見てるより大きいんだ)
「おい、野々原。いつまでくっついてんだ。着いたぞ」
大地の一言でハっとして、顔を真っ赤にして自転車を飛び降りた。

●S-16 風立一中・2年C組

教室に着いた姫子は、思いがけない朝の出来事について考えごとをしていた。
そんな姫子に対して大地は何事も無かった様に他の男子と話をしていた。
しかし、朝の二人を目撃した人間はかなりの数がいた。
姫子の後ろで席を立った少女もそのひとりである。
「おはよう、野々原さん。」
(この声は・・・)
考えごとをしていた姫子はおそるおそる振り返った。
(やっぱり・・)
「お、おはよう、日比野さん」
「今朝はずいぶんと派手な登校の仕方だったわね。」
(げ、よりによって日比野さんに見られてたなんて)
「わたしの大地くんに慣れ慣れしく抱きついちゃって、いやらしいわ。」
「はぁ(また始まった・・・)」
そんな日比野さんを後目に姫子は大地達の話を聞いていた。
(なに話してんのかな?)
そうとも知らず、日比野さんは延々と話し続けていた。
「ちょっと、野々原さん、ちゃんと話しきいてんの?」
「ん?ごめーん、なんだったけ?」
まるで話しにならないわといった感じで日比野さんは大地の方を見つめていた。
その大地は、相変わらずクラスの男子と話をしていた。
「よう、大地、その顔の傷どうしたんだ?」
姫子はその言葉で大地の方を見た。
確かに大地の右頬に切り傷とも引っかき傷つかない傷が生々しく残っていた。
大地が怪我の訳を話そうとしたとき、日比野さんは大地の方へ駆けて行った。
「きゃぁ、大地くんっ。どうしたのぉ?その傷」
(げっ日比野)
大地は、そんな日比野さん越しに心配そうに自分の方を見ている姫子と一瞬目が
合い、さっとそらすと昨日の返りの出来事を話した。
日比野さんは、それを聞いて、勝手な推理を口走り始めた。
「もう、大地くんったらわたしの事を考えていて猫を引きそうになるなんて、そんな
にわたしって、魅力的かしら?きゃっ、わたしったらなんて事を」
(おいおい、誰もそんな事言ってないって)
そんな大地の頬を冷や汗がたらりと流れ落ちていた。
「でも、大地くん。あんまり無茶しないでね、もしもの事があったらわたし泣い
ちゃうから・・・きゃっ、また言っちゃった」
(はいはい、勝手に泣いてくれ)
「ひゅー、大地!やけるねぇ。野々原が怒るぞ!」
男子が一人、大地に冷やかしを言っていた。
それを聞いた姫子は、その男子の後ろに回り込んで「誰がおこるって?」と言うや
否や男子の片方の耳をつまみ上げて、鋭い眼差しで睨んでいた。
「うわー、冗談だ!冗談だって」
あわてて言い逃れをしている男子も、姫子の迫力にはかなわないらしい。
「大地くんも大変ね、野々原さんみたいな人と噂になって・・・わたしみたいな
美少女がいると言うのに」
相変わらず、思い込みの激しい日比野さんは好き勝手に話を進めていた。

●S-17 2年C組・ホームルーム

風立一中の本鈴が鳴り響き、担任の五利先生が教室に入ってきた。
いつも通りの退屈なホームルームが行われ、いつも通り何事もなく終わるはず
だった。
だが、ホームルームの終了間際、五利先生は姫子と大地をホームルーム終了後
職員室に来るようにと伝えて教室を出て行った。
五利先生が出て行った後の教室は、姫子と大地の話題で持ちきりになり、朝の
登校風景を見た者はその事じゃないかと言ったり、あれこれ話をしていた。
しばらくは成り行きに任せていた二人だったが、とりあえず職員室へ向かう事
にした。

●S-18 風立一中・職員室

二人は職員室の五利先生の机の前に来ていた。
呼ばれた理由はやはり、今朝の登校時の事だった。
この事に関しては、大地が遅刻しそうになっていた姫子を無理矢理自転車に乗
せて学校まで来たと言い張り、一歩も引かなかった。

五利先生の方も日頃の二人の態度と今朝の事についての厳しい注意が主だった。
特に大地には自転車で長距離を走って来ているため、途中事故にでも遭ったり
して大怪我でもしたら自分の責任だと言って注意を促していた。

ようやく二人は五利先生から解放され、職員室を出た。

●S-19 風立一中・体育館

一時間目は合同の体育で、男子はバスケットで女子はバレーボールだった。
例の如く、姫ちゃん仲良し3人組こと姫子、愛美、いっちゃんの3人はコートの
隅で話し込んでいた。
「ねえねえ姫ちゃん、今朝の、見たよ。」
「ほんとに大胆というか何というか」
愛美といっちゃんは相変わらずのテンポで話を繰り出してきた。
「そんなんじゃないって、たまたま遅刻しそうな時に、偶然大地に会ってたまたま
乗せてもらっただけなんだから・・・」
あわてて否定する姫子をよそに男子側のコートから歓声があがった。
「すっげー、さすが大地!」
「やるなぁ」
「きゃー、大地くーん。かっこいいー」
どうやら大地が派手なシュートを決めたらしい。
それを見て愛美はいつもの様にミーハーぶりを発揮していた。
「きゃあきゃあ、小林君ってやっぱりかっこいい。いいな姫ちゃんは小林君みたい
なかっこいい人がいて」
「何いってんの、愛美だってテツ君がいるじゃない。ほら、テツ君がシュートするよ」
そう言うと姫子はコートの方を指さした。
愛美は照れながら、「わたし、高田君とはそんなんじゃないもん」と言って、いつも
の様なミーハーぶりは出ず、じっと黙って見つめていた。
「とかなんとか言って、結局愛美は高田君のこと好きなんでしょ」
「もう、いっちゃんたら・・・」
いっちゃんの問いかけに、顔を真っ赤にして微笑んでいる愛美を見て姫子は自分も
愛美ぐらい、自分に素直だったらなと思っていた。







つづく

                                                     MAP4167   MAY.H
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