#124 Article 3249 Posted at 1995/09/05 18:56:15 by ていりん (MAP3010) [ED]
Subject: 「エド・ウッド」雑感
「みんな頭が変よ! 人生のムダだわ。あんな最低の映画を作って!」 それでも彼は(彼だけの傑作を)撮り続ける、そんな男の物語。 落ちぶれ果てたヤク中で、世間からは「生きてたの?」なんて言われる 老優ベラの、それでも「また映画をとろう」と言える情熱。 そんな老友の今日の糧と、 自分自身の【夢】のために奔走し、 詐欺紛いの口八丁手八丁さで、数ドル単位で資金を集める 超ど素人映画人・エドの情熱。 情熱がすべてに優先する彼の【ビギナーズ・マインド】が、 痛いほど自分に重なる人は、多いんじゃないのかな。 これ、 本業でクソ忙しい毎日の、ギリギリの睡眠時間まで削って、 誰が読むでもない、誰が評価してくれるワケでもない、 ただどうしても作らずにはいられない衝動を、 苦しみながも、間違いなく【楽しんで】原稿に叩き付けている、 そんなすべての同人作家そのままの姿だな、と思った。 行列の出来る完売サークルではない、 知ってる人でもあんまり知らない、 それでも作り続けてる、そんな僕たちみたいなサークルの人たち。 エド・ウッドの人生そのものには、モノの本なんかで見聞する限り、 決して誉められたものでも、ましてや憧れるなんてとんでもない、ものらしい。 それは本作も同様で、彼の人生は、主観的幸せと苦悩、客観的滑稽さに満ちている。 その[主観的]幸せの絶頂期で終幕するから清涼感が残るんで、 そういう意味では、本作はまさにエドの見た白昼夢そのものかもしれない。 もちろん、 【現実は厳しい】ものだけど、現実以外に僕たちの生きる場所はなく、 それならば厳しい世界で生きるしかないわけで、 本作も、エドの人生も、まさに厳しい現実との敗北の軌跡だけれども、 その情熱には、善し悪しを越えた猛熱が確かにあって、 [戦い続けた]ことは、もしかしたら評価してもいいなじゃないかな ……とか思わされちゃう映画でした。 モノトーンの画面は本当にキレイ。 ベラ役のマーティン・ランドーは、 (ある意味、ベラ的軌跡をたどっている役者でもある故の)情熱で、 なるほどオスカーな名演。 明るく元気な「真夜中のカーボーイ」っていうのは、変な感想かな(^^; 一本の映画としては難もなくはないけど、 充分に楽しめた作品でした。 ていりん(MAP3010) /E