#119 Article 7296 Posted at 1995/11/06 01:12:11 by L.A.KID (MAP5695) [USSM]

Subject: [US SAILOR MOON] #040 "Day of Destiny"

L.A.KID です。US 版セーラームーンの報告です。
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        #040 "Day of Destiny" 11/03/95
        (JP#044 「セーラー戦士死す!悲壮なる最終戦」
         JP#045 「うさぎの想いは永遠に!新しき転生」)

☆ TIME TABLE:

[00:00]
        INTRODUCTION
        Serena:         「今日は Sailor Moon の D-day (ノルマン
                ディー上陸作戦の日)。ついに、悪者 Queen Beryl と 
                Doom 'N' Gloom Girls 、そして Tuxedo Mask に対し
                て立ち向かっていくの。邪悪な力から Tuxedo Mask 
                を解放することができるかしら?彼女が世界に暗闇を
                浴びせるのを止めることができるかしら?すべて私次
                第。そして今、私独りだけに。もうすぐよ、どうなる
                か見てね。」
[00:20]
        OPENING ANIMATION
[01:50]
        EYECATCHER
[01:55]
        COMMERCIAL
[02:55]
        EYECATCHER
[03:00]
        TITLE
        "Day of Destiny"
[03:11]
        太陽の黒点の広がりについてのニュースのシーンはあり。

        うさぎが家族にカレーを作るシーンは全面削除。

        火川神社のシーンへ飛ぶ。

        「キスくらいしてきたの」の後から Artemis が「おしゃべり
        をしてる暇はないぞ」という前まで削除。つまり、「もしも」
        の話をするシーンや亜美ちゃんが赤くなるシーンなども削除さ
        れている。

        5人の変身シーンはあり。
        Sailor Moon:    "MOON PRISM POWER!!"
        Sailor Mercury: "MERCURY POWER!!"
        Sailor Mars:    "MARS POWER!!"
        Sailor Jupiter: "JUPITER POWER!!"
        Sailor Venus:   "VENUS POWER!!"
        The Sailor Scouts:      "STAR POWER!!"

        テレポートのシーンを短く編集。
        The Sailor Scouts:      "STAR POWER!!"

        テレポートの後の Artemis と Luna だけのシーンは削除。

        「シャキッとしてれば寒くないわよ」のあたりが削除。

        S.Mercury が大量の妖気を発する場所を検出するシーンが削除。

        Queen Beryl が5人を水晶を通してみるシーンと Doom 'N'
        Gloom Girls が Queen Beryl の前に現われるシーンはあり。

        S.Moon が幻覚にだまされるシーンはあり。

        「だまされる私も愚かだけど…」「長いっ!」のシーンは削除。

        「月に代わっておしおきよ!」のところはあり。

        2度も同じ手にひっかかるオッペケペーのシーンは削除。
        つまり、Doom 'N' Gloom Girls が消えた後に現われる幻覚は 
        Andrew 。

        S.Jupiter が捕まるシーンはあり。そのあとの、S.Moon と 
        S.Mars が攻撃しようとするシーンもあり。

        S.Jupiter が電撃をかけられるシーンは削除。

        S.Jupiter が技を放つシーンはあり。だが、苦しみながら叫び
        声をあげてエナジーレベルをあげるシーンは削除。

        爆発はあり。だが、

        Monster:        "She's with us, girls, in the negaverse!"

        ようするに、殺したんじゃなく、生け捕りした、ということら
        しい。

        このあと、ウインクする Lita の回想シーンに飛ぶ。つまり、
        氷の中の S.Jupiter のシーンが全面削除。S.Moon との最後の
        会話もなし。

        S.Jupiter が力尽きるシーンもなし。S.Moon が泣き叫ぶシー
        ンもなし。

        Lita:           "Hang in there, you guys!  I'm with ya!"
        明るく、「頑張ってね」と言っている…。

        S.Moon が先へ進むのを嫌がるシーンが削除。

        そのあとの、「銀水晶なんかあげるわよ!」からあり。

        S.Mercury がビンタするシーンはやっぱり削除。かわりに、
        S.Mars が「S.Jupiter はそんなこと望んでない」と言ってい
        る。

        S.Mercury が敵をキャッチして自分だけ残ると告げるシーンは
        あり。だが、台詞がちょっと違う。S.Mercury は、「みんなは
        先に行って。後から追い付くから。心配しないで。」と言って
        いる。

        3人が S.Mercury を置いて先へ進むシーンは削除。

        Greg の幻はあり。でも「私にもこんな幻が見れるのね…」的
        台詞無し。

        ここで、Part A 終了。
[08:50]
        EYECATCHER
[08:55]
        COMMERCIAL
[10:55]
        EYECATCHER
[11:00]
        S.Mercury が技を放つシーンはあり。
        攻撃を受けて避けるシーンもあり。

        幻覚のもとを見つけだすシーンは削除。自分自身のまわりに技
        を放つシーンも削除。つまり、エナジーボールの中のシーンへ
        飛ぶ。

        S.Mercury に Doom 'N' Gloom Girls に捕まった後、電撃を食
        らうシーンが削除。

        コンピュータで幻覚のもとの石を破壊するシーンのあたりが削
        除。

        Doom 'N' Gloom Girls が「死ねっ」というところで、Amy の
        回想シーンあり(順番逆)。

        Amy:            "You guys, I'll be with lita.  Take care."
        Monster:        "Bye-bye."
        どうやら、S.Mercury も単に捕虜にされたということらしい。

        S.Mercury が力尽きるシーンは削除。S.Moon がそれを感ずる
        シーンも削除。

        S.Moon が座り込んで泣きわめくシーンはあり。「来るべきじゃ
        なかったのよ。Luna がちゃんと訓練してくれなかった。」と
        言っている。ついでに、「もう帰りたい」と言っている。友達
        が死んでしまったんなら分かるが、誘拐されたのにほっといて
        「帰りたい」はないと思うが…。

        S.Venus が S.Moon を助けて Doom 'N' Gloom Girls に捕まる
        シーンはあり。オリジナルでは、「銀水晶なんかあげるから美
        奈子ちゃんを放して」「そんなことしたらあたしが許さないか
        ら!」だったが、「今助けるから。Tiara を使うわ!」「エナ
        ジーはセーブしておいて!後で必要になるんだから!」となっ
        ている。

        S.Venus が Doom 'N' Gloom Girls に攻撃されて叫び声をあげ
        るシーンが削除。

        Monster:        "Sailor Venus... Welcome to the
                Negaverse!"
        やっぱり S.Venus もさらわれたようだ。

        S.Venus が技を放つシーンはあり。

        S.Venus が力尽きるシーンが削除。

        Mina がウィンクするシーンはあり。
        Mina:           "I believe in you..."

        S.Mars が S.Moon を引きずって走るシーンはあり。そのあと
        の「もしものときのために」話すシーンもあり。でも台詞は違
        う。「ケンカばかりしてたけど楽しかったわ」などというのは
        なくて、「Doom 'N' Gloom Girls はちょっと強すぎるわ。
        Serena は多分独りで Beryl と戦わなければならくなると思う
        わ」とか言ってるし、 Serena は「戻って、もっと強くなって
        から来よう」などとほざいている。

        S.Mars が技を放とうとするが、氷の塊に閉じ込められてしま
        うシーンはあり。

        その後の沈黙は削除。我を失った S.Moon に妖魔が攻撃しよう
        とするシーンや、S.Mars がその妖魔をやっつけるシーンも削
        除。

        S.Mars が氷の中で妖魔に電撃をくらうシーンはあり。そして、
        爆発するシーンもあり。

        妖魔だけが出て来るシーンや、S.Mars が最後の力を振り絞っ
        て技を放つシーンも、「雄一郎にキス…」も、力つきるシーン
        も、みーんな削除。

        そして Raye の回想シーンへ飛ぶ。
        Raye:           "See you around, Meatball Head!"

        このあとの S.Moon が独りひざまついて泣いているシーンから
        後はみーんな削除。4人の霊が現われて励ますシーンや、
        S.Moon がついに勇気をだして、敵の本拠地へ向かって走り出
        すシーンなど、感動的なシーンが、みーんな、みーんな、削除。

        ついでに、Darien が洗脳を終えて目覚めるシーンも無し。
(14:00)
        最終話の冒頭の、S.Moon が本拠地を前に立っているシーンへ
        飛ぶ。

        Beryl が S.Moon を捕らえて自分の前に持って来るシーンはあ
        り。

        Beryl:          「これで、 Sailor Moon 独りか。やっと差
                しで会うことができるな。」

        その後の自己紹介や、Darien に殺せと命令するあたりはその
        まま。でも、「殺せ!」ではなく、「銀水晶が欲しいのだ!」
        と言っている。

        Darien が剣で S.Moon に襲いかかるシーンで、S.Moon がギリ
        ギリよけるところをちょっと削除して、あまり危険じゃなかっ
        たように見せている。

        S.Moon がヒーリングしようとするシーンはあり。でも、短く
        編集されている。

        このあと Darien が飛びかかって S.Moon に剣で切りかかろう
        とするシーンも、ギリギリよけるところだけちょっと削除して
        いる。

        バラで縛り上げて電撃を食らわすシーンが完全に削除。

        S.Moon を蹴りとばすシーンも削除。

        首を絞めて電撃を食らわすシーンも当然無し。

        広がる黒点や、Negaforce のシーンなどはなぜかそのまま。

        S.Moon が Wand を取ろうとするシーンはあり。でも Darien 
        が剣を振りかざして、S.Moon 首を落とそうとするシーンが削
        除。

        S.Moon が4人が死んだところを思い返すシーンは当然削除だ
        し、Beryl も「お前達のしていたことは無駄だったのだ」など
        と言わなから、そのあとの、ついに Tiara を使って、Darien 
        を倒そうとしてしまうところの動機が弱い。さらにこのあたり、
        あちこち細かく削ってあってポンポン進むので、見ている人が
        感情移入する余裕がない。

        Darien が狂って復活するシーンはあり。

        そのあとの、「死ね~っ!」と襲いかかるシーンは削除。かわ
        りに、2人の回想シーンをここで挿入している(オリジナルで
        はオルゴールに触った後)。「止めて~っ!」と叫んで、沈黙
        があって、静かにオルゴールが鳴りだすという演出が無くなっ
        ている。

        Sailor Moon:    「あなたの心は私のものよ。覚えてるはずよ。」
        Prince Darien:  「お前は敵だ!」
        Sailor Moon:    「違うわ。見て、Darien 。私たちの Locket 
                よ…。」

        間とかいうものが全くなく、あっさりオルゴールを差し出して
        いる。

        回想シーンは既に使ったのでここでは無し。病院のシーン
        (「僕は誰なの…」)も無し。

        記憶を取り戻した Darien と Sailor Moon が抱き合うのを見て、

        Queen Beryl:    「そんなの甘すぎるわい!虫歯が出来るわい!」
        ここで笑かしてどーする。

        Beryl が「お前を許さ~ん!」とクリスタルを投げるシーンは
        あり。

        ここで、Part B 終了。
[18:30]
        EYECATCHER
[18:35]
        COMMERCIAL
[20:35]
        EYECATCHER
[20:40]
        バラが Beryl に突き刺さるシーンはあり。

        Darien が S.Moon をかばうシーンで、クリスタルがグサッと
        突き刺さるところが削除。

        バラからエナジーが発せられて Beryl が驚くシーンが削除。

        Beryl が床に消えるシーンはあり。

        S.Moon と Darien の最後の会話のシーンが短くなっている。

        Darien が逝った後に S.Moon が泣き叫ぶシーンが削除。よう
        するに、死んでない、ってことになったわけだな。

        Beryl が Negaforce に力を授かるシーンを短めに編集。

        S.Moon が Darien にキスしようとするシーンのあたりなど全
        く無し。

        暗黒のエナジーを手に入れた Beryl が花から生まれるシーン
        はあり。

        S.Moon が Beryl の前にやってくるシーンはあり。オリジナル
        では何も喋ってないのに、またまた、ペラペラ喋らせている。
        最後の最後の大きな戦いなのに、まるでいつもの下っぱ妖魔と
        戦いに行くみたいだ。

        Beryl が攻撃するシーン、Princess 化した Serena が現われ
        るシーンはそのまま。だが、またまたまたおしゃべりな 
        Princess 。

        世界に異変が起き始めるシーンはあり。

        屋根裏の Luna と Artemis のシーンもあるが、かなり短く編
        集されている。「銀水晶を使ったら死んでしまう」的発言一切
        なし。「Sailor Moon, 自分を信じなきゃだめよ!お願い!」
        と言っている。

        最後の攻撃の前にあった、Beryl と Princess の長い沈黙が削
        除されていて、すぐに攻撃を始めている。やっぱりおしゃべり
        プリンセス。

        Princess Serena:        "COSMIC MOON POWER!!"

        BGMはムーンライト伝説ではない。聞いたことのないロック
        だ。このためにわざわざ作ったのだろう。悪くはないが、もは
        や、BGMは何だって同じだ。

        このエナジーの応酬のシーンも、随分短くなっている。まず、
        Beryl と Princess の会話のところが削除。攻撃を初めて、わ
        りとすぐに「友達が私に期待している」と言い、4人を回想す
        るシーンへいく。回想が終わったらすぐに、「みんなの助けが
        必要なの…手伝って」と言い、4人の手が現われる。「*パワー!」
        と叫ぶシーンはそのまま。

        Sailor Mercury: "MERCURY POWER!!"
        Sailor Mars:    "MARS POWER!!"
        Sailor Jupiter: "JUPITER POWER!!"
        Sailor Venus:   "VENUS POWER!!"
        Princess Serena:        "COSMIC MOON POWER!!  UNITE!!"

        Beryl がエナジーボールに吹き飛ばされるシーンはあり。だが、
        Beryl を Negaverse へ吹き飛ばした、と Serena が説明して
        いる。死んでないってことかい。

        S.Moon が力つきるシーンのあたり一切無し。誰も死んでない
        ことなっているから、5人の亡骸が現われる、エナジーが広がっ
        ていくシーンも削除。

        エナジーが地球全体に広がっていくシーンはあり。Serena が
        「ついに地球に平和が訪れた」と説明している。

        普段の生活にもどった後のシーンはあり。だーれも死なずにま
        るく収まりました、よくやった的発言。Luna が、みんなが記
        憶を失ってしまった、と説明している。なぜ記憶を無くしたか、
        見ている人にはさっぱり理解出来ないだろう。

        でも、テスト用紙をまるめて投げて Darien にあたるシーンが
        (続く「運命の出会いだったりして」も含めて全部)削除され、
        Darien がオルゴールに触れた後に使われるはずだった、病院
        のシーンがここに持って来てある。

        Serena:         「こんにちは。私、Serena、病院のボランティ
                アなの。あなたはホントに酷い事故にあったそうよ。」
        Darien:         「最高におもしろい髪型だな。MEATBALL み
                たいだ。」
        Serena:         「私の髪型が MEATBALL みたいに見えるって
                ゆーの!」

        ラストの絵(Serena と Darien が向き合っているシルエット)
        はそのまま。
[26:05]
        EYECATCHER
[26:10]
        COMMERCIAL
[27:10]
        SAILOR SAYS
        Serena:         「今日は Sailor Scouts にとって悪い始ま
                りかただった。でも私は絶対に降参つもりだったわ。
                絶対にね。だって、もし私が降参したら、間違いなく、
                Queen Beryl と Negaforce が勝利してしまうもの。」
        Raye:           「正しいと分かっていることに対して、いつ
                も誠実でいましょう。」
        Lita:           「心身ともに強く健康でいようね。」
        Amy:            「学業にベストを尽くしましょう。」
        Minta:          「積極的な考え方をしましょう。それが、悪
                い状況を打開する一番いい方法よ。」
        Serena:         「友達に誠実でいましょう。特に、正しいこ
                とをしているときはね。みんながあなたに誠実である
                ように。あなたが成し遂げようとしていることを分かっ
                ている人たちなんだから。」
[27:40]
        ENDING ANIMATION
[28:10]

☆ MY FINAL COMMENTS

もし私にそれだけの権限があったら、DiC (北米版製作者) に対し、向
こう3年間のアメリカでの業務停止命令を出すだろう。

とにかく、私はこれを「セーラームーン」と呼びたくない。呼ばせたく
ない。残念なことに、今後、アメリカ(およびカナダ)では、「セーラー
ムーン」はこんなもの、ってことになるんだろう…。

あの、誰もが涙した「超」感動的な最終話を、ここまで感動を与えない
ものに仕上げるとは、(それが意図したものであるなら、)天晴れである。
これを見て泣く人はよっぽど涙もろい人だろう。"The Clear Crystal
Destiny"(「光輝く銀水晶!月のプリンセス登場」)の回では、私は怒り
に怒った。だが今や、私の心の中では、「怒り」を遥かに通り越して、
「虚無」が支配している。おかげでこうやって、冷静に分析することが
できるわけだが。

まず、第一に、2話を1話にまとめてしまおう、という魂胆が、この大
失敗作の発端であり、最大の元凶でもある。まるでダイジェスト版を見
ているかのようにストーリーがポンポン進む。視聴者は、話のスジを追
うのに必死で、(感動的なシーンがあったとしても)感動する余裕なんて
ない。そして、案の定、展開が穴だらけになった。

第二に、「誰も死なないように」というのが、ストーリーと絵(ボロ泣
きしているSerena 、深刻な表情の Raye, Mina など)の矛盾を生んでし
まうので、視聴者は首をかしげるだろう。ヒーローの死というのは、ア
メリカではタブーであるということは知っていた(実際にヒーローや主
人公の死を取り扱ったものが、(過去のディズニー映画にもあったし)全
く存在しないわけではないが)。だが、捕虜にする、というやり方は、
まずいやり方だった。せめて、「負傷して気を失った」とかに出来なかっ
たものか。

第三に、編集する部分が間違っている。…いや、失礼、的確だったのか
もしれない。つまり、感動的な部分や、涙を誘う場面が優先的に削除さ
れたり、わざと演出が変えられて、見ている人が泣かなくてすむように
しているようだ。だが不幸にもそれらは全部、シリーズ全体を通しての
重要な鍵となる部分だった。

第四に、全く余計なこともしている。シーンの順番を変えたり、別のシー
ンから絵を持って来て別のところに挿入したり、というのは、必要な作
業ではない。彼らはそんなことをするよう期待されていない。「これは
放送できないから、カットしよう」というのとは、全く別ものである。
オリジナルの監督や演出家が、頭を悩ませて作った、計算されつくした
構成と演出(少なくとも最終話は完璧だったと思う)をホイホイと簡単に
いじってはいけない。もうひとつ、オリジナルで何も喋ってない場面で、
ペラペラと喋らせてはいけない。なぜ何も喋っていなかったのか、ちょっ
とは考えて欲しい。それは、喋らない方が良いからなのだ。どんな台詞
をあてるよりも、何も喋らないほうが良いから、何も喋らせないのだ。
何も喋らないのが一番いいと、慎重に判断してそうしてあるのだ。



DiC が犯した罪をひとつひとつ糾弾していこう。この2話では、シリー
ズ全体を通しての主題を伝える重要な部分が数々あり、それを DiC は
ことごとくつぶしている。

まず、みんな死んで、S.Moon がついに独りになってしまい、泣いてい
る場面。4人の霊があらわれる場面だ。S.Moon が「何か」を掴みとり、
走りだす場面だ。「セーラームーン」という番組は「うさぎの成長物語」
だったはずである。何十話にもわたって、うさぎの精神的な未成熟さを
繰り返し繰り返し見せて来たのは、ここで彼女が精神的に成長する姿を
見せるためだからなのだ。「誰でも成長することが出来る、強くなれる
んだ」ということを視聴者(子供も大人も)に訴えることが、重要なテー
マのひとつだったはずなのだ。そしてその主題を最も強く訴える場面が
ここなのだ。では、DiC が何をしたか?完全削除である。視聴者には、
S.Moon が突然、人が変わったように見える。

S.Moon が Darien に Tiara を使って攻撃する場面。Tiara を使うとい
うのは相手を殺してしまうかも知れないこと。最愛の人を殺すしかない、
という悲劇を選ばざるを得なくなった理由付けが、ちゃんと強くある。
命懸けで戦い、そして死んでいった仲間が目指していたものを、達成し
なければ、彼女らの死を無駄にしてしまうことだからだ。だから、自分
が死ぬことより、最愛の人を殺すことを選んだのだ。では、DiC が何を
したか?特に強い理由付けが感じられないものにしてしまった。これで
は感動しない。

次は、オルゴールを差し出す場面。自分を今すぐに殺そうとするDarien 
にたいして、「やめて!」と叫ぶ。ここで視聴者がまず驚く。つづいて
真っ暗になり沈黙が少し続く。この予期しない静寂に、視聴者はいった
い何が起こったのか、と注意を傾ける---ひょっとして殺されたのかと。
暗闇の中で静かに鳴り始めるオルゴールの音。ここで、このオルゴール
の持つ意味(前世で愛の証しにと送ったもの。そして今世では悲しいと
きやつらいとき、いつも聞いていたもの。)を思い出し、うさぎがそれ
を「殺されるかもしれないこの瞬間に」差し出したことに、ほとんどの
視聴者が涙を流すはずなのだ。では、DiC が何をしたか? Darien はこ
のとき殺そうとしていなかった(立ち上がって「お前は敵だ」と言った
だけ)。「叫び」「暗闇」「沈黙」といった演出はなし。「思い出して…」
などと二人の思いでを説明しながら(絵はフラッシュバック)、オルゴー
ルを差し出し、そのオルゴールが何なのか一生懸命説明している。こん
な演出では感動も半減だ。

Beryl に刺さったバラからエナジーが発せられて Beryl の体にヒビが
入る場面。愛のエナジーが Beryl の体を滅ぼそうとする場面。普通の
アニメやドラマだったら、ここは単にくさい演出にしか見えないだろう。
だが、ここでは視聴者は完全にこの世界への感情移入を終えていて、愛
のエナジーが存在することを信じたい、愛が勝つということを信じたい、
と思っているのである。この場面と Beryl の台詞は、その「セーラー
ムーン」の重要な主題のひとつ、「愛の力」を再確認するためのものな
のだ。では、 DiC が何をしたか?また完全削除である。

Luna が「銀水晶を使ったらあなたは死んじゃうのよ!」の場面。この
台詞があるからこそ、この後、 Princess が目をぐいっと開けて銀水晶
の力を発動させる場面が生きる。自らの命が犠牲になることが分かって
いながら、仲間が信じて命懸けで守ろうとした世界を自分も信じて守ろ
うとする。世界一精神的に未熟だった14才の女の子が、もっとも英雄
的な行動をおこしていることに視聴者は感動する。自己犠牲精神は、下
手をすると単にクサい話になってしまうのだが、「セーラームーン」は
それを完全に自然に描くことに成功している。では、 DiC が何をした
か?銀水晶を使うと死んでしまうという設定はどっかへ行ってしまった。
ヒーローを実際に死なせるのが無理だとしても、死ぬかもしれないとい
う設定を作ることぐらいは可能だったはずだ。DiC は臆病者である。

Beryl をやっつけた後のモノローグの場面。「普通の生活にもどりたい…」
という場面だ。これも結構重要な場面なのだ。まず、なぜみんなの記憶
が消されたのか暗示しているのだ。うさぎはごく普通の生活を常に望ん
でいたし、それが彼女にとっての幸せだと信じていた。そして、そうす
るためにはみんなの記憶を消さなければならなかったのだ。さらに、も
はやこの時点では視聴者は完全にうさぎに感情移入しているから、仲間
も最愛の人も全て失って得た地球の平和など、全く嬉しく思っていない
のだ。視聴者が望むこと、それがうさぎのモノローグと共鳴するはずな
のだ。では、 DiC は何をしたか?これまた完全削除である。これでは
視聴者はなぜ記憶が消されたのか理解に苦しむ。

普通の生活の戻った後の、テスト用紙をまるめて投げて、衛にあたる場
面。これは、(第1話から見ている視聴者しか分からないだろうが、)第
1話の2人の最初の出会いの繰り返し。「不思議な奇跡クロスして何度
も巡り合う…」である。この奇妙な2人の出会い方が運命で定められた
ものであることを認識させてくれる場面だ。視聴者は、運命的関係、運
命的出会いが存在することを、信じることができ、この強い精神的衝撃
を与える物語の中で、最後に安堵感を与えてくれる場面だったのだ。そ
して最後に「いつでも私を守ってくれるかっこいい彼氏を見つけるって
夢よ」と言わせる演出も見事である。では、DiC は何をしたか?オリジ
ナルで Darien が記憶を取り戻したときのフラッシュバック(病室の中
のシーン)を持って来てしまった。これでは、運命を演出するのには効
果が半減だ。

「セーラームーン」は、典型的ヒーロー物アメコミにあるような「史上
最強最悪の敵を叩きのめし、世界に平和が戻って完全勝利、気分爽快ハッ
ピーハッピーイェイ!」で終わる単純な物語じゃない。DiC は何をした?
典型的ヒーロー物アメコミに可能な限り近付けようとしたのだ。そして
失敗した。

きびしい規制があるのは理解する。それぞれの国がそれぞれ独自のルー
ルを持っているんだから。不本意ではあるが、暴力シーンをカットする
のは許す。ヌードに修正をいれるのも致し方あるまい。日本文化や東洋
の宗教を避けようとするのも、黙認してやることが出来る。ヒーローの
死を扱えないというなら、多少ストーリーに無理が出来てしまっても仕
方ないかもしれない。しかしながら、DiC はそれを遥かに越えることを
してしまった。彼らは、オリジナル版を、北米の視聴者に適切になるよ
うに必要最小限(+α)の改変することを期待されているはずで、北米の
視聴者は、DiC 独自の作品を期待しているわけではない。アメコミ化し
て欲しい訳でもない。アメコミが良いのなら「セーラームーン」を輸入
することに意味はない。この作品を輸入した動機はそもそも、マンネリ
化し、衰退しかけている子供向けテレビ番組界に、"Power Rangers" が
そうしたように、新しい旋風を巻き起こすことだったはずだ。

アメリカでの視聴率はだいぶ悪いらしいし(カナダでは好評らしいが)、
来年も放送があるかどうか微妙なところだが、もし幸運にも放送が続く
なら、絶対に作り直しを要求したい。

☆ GRADE

今回の SAILOR MOON ep.#40 "Day of Destiny"
(org.eps.#45&46) は:

        Grade "D-"

です………。

P.S.
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L.A.KID