#119 Article 4325 Posted at 1993/10/22 01:15:10 by K_Katayama (MAP3623) [BIRTHDAY]

Subject: 美奈子ちゃん お誕生日おめでとう!

ども K_Katayama です。

本日10/22はセーラーヴィーナスこと愛野美奈子ちゃんのお誕生日です。
と、いうわけでお誕生日記念のショートストーリーを書きました。

では、いきます。
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「ただいまーっ」

いつものように学校から帰ってきた美奈子は玄関先に1通のAIR MAILがあるの
に気がついた。

あれ?誰宛だろう……。

ふと、手にとり、宛名を見ると Minako Aino とある。そして差出人は……

「あーっ!アランからの手紙だーーーーっ!」

美奈子はいても立ってもいられなくなり、すぐに部屋に駆け込むといつもの数
倍のスピードで着替えをすませ、ベッドに体を投げ出すと急いで手紙の封を切っ
た。

	親愛なる美奈子へ

	君も日本で元気に過ごしているのかな?もう君が日本に帰ってから
	1年になるんだね。きっと君もイギリスにいた時よりも数段魅力的
	な女の子になっているのだろうね。

	おっと、余計なおしゃべりはこの辺にして……。
	僕は今度ようやくカタリナと結婚する事にしたよ。
	そこで僕とカタリナのかけがえのない友人である君にも是非結婚式
	に来て欲しいと思い、手紙と航空券を送ります。
	もし、よろしかったら来て下さい。
	それでは。

							アラン

一気に読み終わると美奈子は

「あぁあ、とうとうアランとカタリナお姉様結婚するのかぁ。」

と、ため息交じりにつぶやいた。
そして、ふっと目を閉じるとイギリスにいた頃を思い出していた……。


イギリスに来て間もない頃、美奈子はあちらこちらにあるもの全てが珍しく、
しょっちゅう街に出歩いていた。その日もいつものようにあちこちの店をウィ
ンドウショッピングしていたところ、体に衝撃が加わった。

「なぁにすんのよーーー!」

と、美奈子は叫ぶが、日本語が分かる人間もそういるわけではなく無視されて
しまう。その時、後ろの方から

「Wait!」

という声とともに走って来る男がいた。
どうやら、その男は先ほど美奈子とぶつかった男を追いかけているようである。
よくよく見るとなかなかの美形、はたまた追いかけられている方はと言えばあ
まり風体の上がらないどこにでもいるような小悪党風、美奈子がどちらに味方
するかを一瞬で決めたのは言うまでもないことであろう。

すぐに立ち上がると、美奈子はその駿足で逃げていく男を追いかけ、前方に回
り込んだ。男は何事か叫んでいるようであるが、美奈子には早口の英語は理解
できなかった。それに大方「そこをどけ!」とか「邪魔をするな!」とか、そ
の程度のことであろうし、仮に内容を理解したとして素直に従う美奈子でもな
いから結果は変わらなかったであろう。

美奈子は走ってくる男を素早くかわすと、右足だけをそのまま男の走る軌道に
残した。案の定男は美奈子の足に引っかかり派手に転んだ。その時追ってきた
美形がようやく追いつき転んだ男の腕を極め、手錠を取り出し、男の手にかけ
た。

へぇ……。この人刑事だったんだ。
かぁっこいいーーーー!

またいつものミーハー癖が出たようである……。

そうやって手際良くかたずけていく美形の姿をじっと見ていると、その美形は
いきなり美奈子に向かって話しかけてきた。美奈子が英語を理解できずに戸惑っ
ているのを見てその美形はハッと気がついた様子で今度は日本語で

「お嬢さん、逮捕協力に感謝致します。」

と、美奈子に言ってきた。
まさかこんな外人のいい男がいきなり日本語で喋ってくるとは思わなかった美
奈子は思わず1オクターブ位跳ね上がった声で

「はっ、はい…いえ、あの、その……。」

と、いうのが精いっぱいであった。

その後、お詫びということで街をエスコートしてもらいながら美奈子はいろい
ろと話をした。それによると彼の名はアラン、インターポールの刑事なのだそ
うだが、今日の事件はたまたま非番だったので街を散歩していたらいきなり目
の前でひったくりが起こったので持ち前の正義感で追いかけたということだそ
うだ。

そしてアランは見事なまでの英国紳士ぶりで美奈子のエスコートを1日すると
別れ際にもしよかったらまた案内すると言い残して去っていった。後に残され
た美奈子の目にはもはやハートマークがしっかりと灯っていたのは言うまでも
ないことであろう。

その後も美奈子はアランに何度かエスコートしてもらい、ロンドンのあちこち
を案内してもらった。仕事があるからといって断られたこともあったが、美奈
子が会いたいというとできる限り都合をつけてアランは美奈子のエスコートの
ために現れた。そして、同僚として一人の女性を紹介してくれた。彼女の名は
カタリナといい、捜査の時にはアランとコンビを組んでいるとのことだそうで
ある。

カタリナは非常に美しく、知的で、かといってそれを鼻にかけることもなく、
女性の美奈子の目から見ても非常に魅力的な女性であった。そんなカタリナを
「お姉様」と呼んで慕うようになった美奈子はそれからアランと共にカタリナ
とも一緒に行動することが多くなってきた。

そんなある日、その日も非番であるアランとカタリナと一緒に美奈子は海岸沿
いに遊びに来ていた。そこに、アランの車に無線の呼出音が響いた。アランの
話によるとこの近辺に凶悪犯がいるらしいとのこと。

「美奈子、君は車の中でおとなしくしていてくれ。外は危険だ。」

無線で指示が下ったのであろう、ある一つの倉庫に向かって慎重に進んでいく
アランとカタリナ。そして、その倉庫に踏み込んだ時、大きな爆発音が響いた。
美奈子は思わず車から飛び出すと二人の姿を探した。そこで見たのは周りから
銃口を向けられ動けずにいるアランと怪我をしているのかその腕に抱えられ倒
れているカタリナの姿であった。

まずいわ。このままではアランとお姉様が……。

そう思った美奈子はとっさに変身ペンを取り出すと変身した!

「三日月パワー・トランス・フォーム!」

そして、連中の背後に回り込むと、

「許せない!凶悪な犯罪を続ける悪い奴!
	この愛と正義のセーラー服美人戦士セーラーVが
		愛のクレッセント・シャワー降らせて頂きます!」

と、叫んだ。
一瞬あっけにとられながらも犯人達はすぐに立ち直りセーラーVに向けて銃口
が火を吹いた。

しかし、ただでさえ運動だけは一流の美奈子の上に、変身してさらに運動能力
が強化されているセーラーVには当たらない。素早く敵の懐に飛び込むと犯人
達を一人、また一人と倒していく。ほどなくしてアランも反撃に移り、たちま
ち形勢は逆転。犯人達は形勢不利と悟ったか逃げ出していった。

「アラン、お姉様は大丈夫!?」

怪我をしているカタリナを心配し、美奈子は自分の今の格好も忘れてアランに
叫んだ。

「君は……もしかして美奈子?」

あっ……と思った時にはもう遅い。既にセーラーVの正体はアランには完全に
ばれてしまったようである。

それからというもの美奈子は謎のセーラー服美人戦士セーラーVとしてアラン、
カタリナの捜査の手伝いをするようになったのであった。

そうやって二人とのつき合いが深まっていくうちに美奈子にもアランとカタリ
ナの関係が単なる同僚のそれではないことはうすうす気付いていた。

そしてこのままイギリスに残るか、それとも東京に帰るかの決断を迫られる時
が来た。美奈子の父親の仕事が長引きそうなので、父親はこのまま残るにして
も美奈子は日本人でもあることだし日本で育てたいと母親が言い出したのであ
る。結局最終的な判断は美奈子自身に委ねられた。

アランやカタリナお姉様と別れるのはつらいけど、このまま幸せになる二人の
邪魔をしてはいけない。

美奈子はそう思う一方で

でも、アランとカタリナお姉様が両思いでなかったとすれば……私がアランの
恋人になれるかもしれない。

そういう考えにも思いを至らせ結局決断することはできなかった。
一晩徹夜で考えた結果、美奈子はアランを一人だけで来るように言って呼び出
し、砂漠の夜明けが見たいと言ってアランに車を出してもらい、一緒に乗り込
んだ。

そして、砂漠に着き夜が明ける頃、美奈子はアランに率直に聞いた。

「アランはカタリナお姉様のことをどう思っているの?」
「素晴らしい女性だと思っている」
「それは相棒として?それとも……」

アランは無言でゆっくりとうなづいた。
美奈子が口に出すことのできなかった「恋人」という言葉を肯定するように。

「じゃあ、あたしのことは?」
「そうだな。正直言えばかわいい妹のようなものだ」
「そう、ありがとう。そろそろ夜明けになるわね。さあ、夜明けを見ましょう」

アランが用意した毛布を砂漠に敷き、その上に座るとアランが肩の上から別の
毛布をそっとかけてくれた。

「どうして、どうしてそうやって親切にしてくれるの?そんなことされたらあ
たし、あたし……」

ついに美奈子は泣きじゃくってしまい言いたいことが言葉にならなくなってし
まった。

「ダメだよ。僕にはカタリナがいる。それに君はまだ中学生なんだろう?これ
からもっともっと魅力的になって、今、君を振った僕を見返すくらいの素晴ら
しい女性になって僕の前にその姿を見せておくれ。」

そう言いながら泣きじゃくる美奈子をゆっくりと胸に抱き抱えるアランであっ
た。

そして数日後、結局東京に帰る決意を固めた美奈子を見送りに来たアランとカ
タリナに対して美奈子はにっこり微笑むと

「二人ともお幸せにね。あたしも愛と美の女神ヴィーナスの申し子にふさわし
いくらいに綺麗になってまた会いに来るから楽しみにしていてね」

と言った。

「それでこそ、美奈子だ。じゃあ、元気でね。」

そう別れを告げるアランであった。

本当はまだ胸がちぎれるほど痛い……。
振られた傷は時が癒してくれると信じている。
けれど、あの人はあたしではなくカタリナお姉様を選んだ。
その時あたしたちの道は二つに別れたの。
だから、私は前を向いて歩いていくわ。
これからの道、ルート・ヴィーナスを。

そして、きっぱりとイギリスに、そして二人に別れを告げると搭乗口に向かい
胸を張って歩いていく美奈子であった。


 ふぅ、思わず思い出に浸っちゃったわね。
いけないいけない。

「で、結局イギリスへは行くのかな?」
「わぁっ!」

突然声をかけられびっくりして飛び起きるとそこにはアルテミスがいた。

「なぁによぉ~いきなり」
「航空券まで送ってもらっているんだろ?行ってくるのかい、イギリスまで?」
「ううん、行かない」
「何でまた?セーラー戦士の任務なら1週間くらいなら他の四人でなんとかな
ると思うけど」
「行くとまたあの時のことを思い出しちゃうだろうし……それにあたしはまだ
二人に顔見せできるようないい女になっていないよ。うん!」

そういうと美奈子は立ち上がって、

「じゃあ、あたしみんなと会う約束があるから火川神社に行ってるね」
「美奈子……。」

と、言うと外に向かっていった。

美奈子、僕は君は十分に魅力的になったと思うよ。
初めて会った時はおてんばで、ミーハーで、とても愛と美の女神ヴィーナスを
司る戦士だとは思えなかった。でもつき合っていくうちに君は正義感溢れ、仲
間の為に命を捨てて戦う勇気を持ち、それでいて人を愛することを忘れない。
そんな君の一面を知る度に僕は驚かされ続けてきた。僕には今の君ほどセーラー
ヴィーナスにふさわしい人間はいないと断言できるくらいだ。

そんな思いを胸にアルテミスは火川神社に行くべく美奈子を追った。

「あ、僕も行くから待ってよー!」

END

-------------------- ここまで --------------------

はい、ということでした。
もしよろしかったら感想をいただけると幸いです。

なお、これで僕の書いたお誕生日記念ストーリーも1周したのでこの辺で一応
最終回とさせていただきます。

今後はネタと時間と要望があればかこうかな。と思っています。
ではでは。